<地底の巨人国> 5

 

 

 

桑原「ど、ど、ど、ど…どんな問題だ!」

静流「ふ〜ん。あんた、やる気ね(かなり顔引きつってるけど)。一回でも間違えたら、仕置きが待ってるから、そのつもりで」

幽助「……桑原、頑張れ」

桑原「お前なー!! そこ止めるところだろ!!」

幽助「するわけねえだろ。さっさと行けよ」

 

確かに通常は「よしなさいよ」と止めるところだが、幽助が止めるわけもない。

止めたら、バトンタッチは目に見えている。

するわけなかった。

 

 

桑原「……ま、間違えなかったら…い、いいんだな……」

静流「ええ。さて、どんな問題にしようかしら……って、随分くだらない問題だけどね。私の言うところ、指さしてもらうわ(はあ…本当、小学生レベルね…)。目は、≪自分の耳を指さしながら、≫ここね」

桑原「……ここだろ?≪自分の目を指さしながら≫」

 

 

……ようするに、口で言ったのと、行動は別々。

つられて、同じ行動を取ったら、負け。

それに流されず、正しい場所を示し続ければいいのだが……そういうのは、多分桑原は得意ではなかろう。

速度が速くなって、あっさりとつりこまれて失敗した。

 

 

 

静流「(……なんかあまりにも速かったわね…)間違えたわね。それじゃ、約束だから」

 

ここで本来は、呪文を唱えて、石にするところだが、静流は思いっきり手を振り上げて、そのまま振り下ろした。

当然、桑原の頭に。

バコンっと小気味のいい音が鳴り響き、桑原の頭は地面にめり込んでいた。

驚いて取りすがるはずの子供たちは、さりげな〜く目をそらしただけだった……。

 

静流「たまには運動も必要ね。あ〜、疲れた。一服してこようかしら」

 

静流は満足した様子で去ろうとする。

ポケットから、さっさと煙草を取り出して。

 

 

 

蔵馬「ああ、巨人さん」

静流「ん? 何? 何か文句でも?」

蔵馬「いいえ。はい、ライター落ちましたよ」

静流「ああ、ありがとう」

蔵馬「それじゃあ、サヨナラ」

 

去っていく静流に、手を振る蔵馬。

ちなみに飛影は欠伸をしていて、幽助はめり込んだ桑原を呆れ顔で見下ろしていた。