<地底の巨人国> 3
ぼたん「え、えっと……あ、ありがと…≪やや引きつり気味の笑顔で、とりあえずしっぽをなでながら、≫ちぎれるかと思ったよ(それより、死ぬかと思ったけど……)」
幽助「つーか、何で岩なんか乗っけてたんだよ」
ぼたん「まねさせ巨人が、ふざけてしっぽの上に置いたんだよー」
飛影「……巨人か」
桑原「おいおい。巨人って、≪周囲を、頭が360度回るんじゃないかというくらい、見回して、≫ここ何処なんだよ!」
そんなことより、『まねさせ巨人』などという、無茶苦茶なネーミングの方がどうかと思うが…。
ぼたん「地底の巨人の国さね。あんたたちは、どっからきたんだい?」
飛影「……」
蔵馬「たまたま4人で歩いていたら、林の中で、鏡を見つけてね」
ぼたん「(…男4人が林の中ぞろぞろって、どういう連中だ…まあいいけど)。その鏡、覗いたんだろ?」
幽助「おう。そうだぜ」
ぼたん「それ、鏡じゃなくって、巨人の国の、明かり取りの穴なんだよ。時々、覗き込んだ人間とか動物とかが落ちてくるんだ」
飛影「……」
蔵馬「(もはや、台詞を言うのも面倒らしいな……)」
通常、飛影の台詞が入るところなのだが、ページ数がやたら増えそうなので、この際飛ばす。
既に3ページ目にもなっているため、今更という気もするが、とりあえず飛ばす。
幽助「んなワケのわからねえところいられるか。さっさと帰ろうぜ」
ぼたん「それ、簡単にはいかないと思うけど」
蔵馬「どうして?」
ぼたん「巨人が必ず邪魔をするのよ」
桑原「んだと〜!」
ぼたん「それだけじゃないさね。この国の外れには、おっそろしい三途の川…じゃなくて、火の川ってのがあるんだ」
飛影「火の川…か≪←別に何とも思ってない≫」
ぼたん「巨人から逃れても、火の川って簡単には渡れないと思うけど」
幽助「マジかよ。んなの、ありかー!! 大体、桑原!! てめえが、あんなもん見つけて覗き込むのがわりーんだろ!!」
桑原「お、俺のせいにする気か!! 最初に何か光ってるって言ったのは、てめーだろ!!」
幽助「近づいたのは、てめえだ!!」
桑原「てめえが見つけなかったら、素通りしてたに決まってんだろ!!」
お約束、喧嘩の勃発。
本来ならば、よしこはかずこにつかまって泣き出し、他は無言でしゃがみ込むところだが、彼らの場合、そうなるはずがなかった。
ぼたん「……止めなくていいのかい?」
蔵馬「いいと思うよ。いつものことだから」
ひなげし「ぼた〜ん。コエンマさま、連れてきたよ」
ぼたん「≪ひなげしとコエンマの元へ走って、≫コエンマさま。あたい、この人たちに助けてもらったよ」
母もぐら<コエンマ>「そうか。部下を救ってくれたこと、感謝す……」
向こうで見える、何か分からない砂煙と、そこから見え隠れする手足に一瞬唖然。
手前にいた蔵馬が、何でもないとさりげなく、視線をそらさせる。
コエンマ「……何だ、あれは?」
蔵馬「大したものじゃありません。ちょっと待ってくださいね」
髪の毛から、一本の薔薇。
それを思いっきり振り、鞭として地面に叩き付けた。
さっき岩を砕いたのと同じのなため、結構な音がする。
ビュシン!!
でもって、かたまる幽助&桑原。
こういう時は逆らわない方がいい……。