ビリビリガッシャーン
電気ショックの効果音とやら、どんなものか見当がつかないため、こういう感じにさせていただいたが…。
幽助の容赦ない攻撃に、直撃をくらったぽけもん2匹、あっさりと仰向けにぶっ倒れた。
「ひ、ひどい!!」
己のぽけもんがあっけなく敗れ、黒こげで足下に転がる光景を、男の部下の一人は、蒼白で見つめていた。
部下…といっても、女。
それも、先の氷ぽけもん使いとは違い、まだ少女…せいぜいが、別世界で中学生レベルといったところだろう。
「何すんのよ!! あんた、女の子に対して手加減ってもん知らないの!?」
…言動もそのくらいの年代のようである。
「るせー!! ひでーのは、そっちだろうが! 第一、けんか相手に男も女もあるか! 俺は老若男女区別も差別も贔屓もしねえんだよ!! くらいやがれ、ミサイル針ー!!」
怒鳴りながら、少女の隣にいた、これまた女性トレーナーのぽけもんを攻撃する幽助。
こちらはまあ高校生くらいだろうか?
しかし、幽助は全く容赦ない。
あっという間に、彼女のゆんげらー・ばりやーど・ふーでぃんもまた、やや歪んだ針の餌食と化してしまった。
「くっ! いきなさい、もるふぉん!」
唯一残ったぽけもんを繰り出すが、幽助はさっきから攻撃こそしているが、全く無傷。
レベルが高かろうと、相性が微妙であろうと、余裕で渡り合っていた。
……しかし幽助とて、別段好きこのんで女性トレーナーのぽけもんとばかりやり合っているわけではない。
いくら老若男女関係ないと言っていても、本音を言わせてもらえば、男でしかも多少年齢が高い方がやりやすいに決まっている。
流石に女子供相手に、滅茶苦茶やるのは気が引けるのだ。
男相手で、トレーナーごと遠慮なく攻撃できる方がずっといい。
彼がそうやらないのは、ひとえに、男の部下に意外と女性が多いのと(7人中3人も女だった)、比較的タイプがきれいに分かれているのだが、それによると幽助の相手として有利なのが、女トレーナーばかりなのである。
ちなみに桑原もそうなのだが…。
「な、なあ…ひいてくれねえか?」
と、さっきの勢いはどこへやら。
女にも結構平気で怒鳴るくせに、変なところでフェミニストな彼。
いや、女とけんかをした場合ろくなことがないと、姉によってインプリンティングされた結果なのかもしれない。
まあ、今回の場合、
「いいえ、ひけませんわ…私は戦う、そのためにいるのですから…」
と、幽助が対峙したのとは真逆の、いかにもお嬢様な雰囲気のおとなしげな少女であったのも、あるにはある。
しかも結構可愛らしい。
「おい、桑原! まじめにやれよ!」
もるふぉんの毒を避けつつ、尻込みしているらしい桑原に怒鳴る幽助。
「じゃかあしいー!! 女に本気で手出せるかってんだ!!」
「女じゃなくて、ぽけもんをやれっつってんだろ!!」
「トレーナーは女だろうがー!!」
……この後、周囲があきれかえるほどの口げんかをしまくっていたことは、言うまでもない。
一方、元々男女というものに興味がなく、オリジナルで初めて躯の素っ裸をみても、顔色一つ変えなかった(変えれなかっただけかもしれないが…)飛影。
女であろうと、別に気にするつもりもなかったが、彼に有利なのは男トレーナーたちのぽけもんであった。
まず、中学生くらいの少年が出してきた、いわーく&いしつぶてをあっさり撃破。
何となくアメリカの軍人を思い浮かべそうなマッチョのびりりだま・ぴかちゅう・らいちゅうも続いて撃破。
もちろん、見た目のかわいらしさなど、眼中にない。
忍者風の男が出した、どがーす×2、べとべとん、またどがす、瞬時に殴り倒し、グラサンかけた妙な親父のがーでぃ・ぽにーた・ぎゃろっぷ・うぃんでぃも、ものの見事にぶっ倒した。
……やたらと飛影にばかり有利なぽけもんたちだったのは、偶然なのかそうではないのか…。
これで格好が、前記したような微妙な進化をしていなければ、とてもかっこついたとは思うのだが…。