<4 最後のオーブ>
地下から戻り、例の石像の元へ。
「こんな仕掛けだったんだ」 もうちょっと古代の遺物のようなイメージがあっただけに、落胆は隠せない。
「考えていても仕方がない。行こうか」 ゲマたちがいなくなった後も、その残り香のせいか、塔全体の異様な空気は消えなかったのに。 モンスターたちは一匹もいない。 あんなおかしな入り口のわりには、中は神域といっていいくらいに。
「おそらく、ゲマたちが目を奪っていったのは、此処へ入れなかったからだろう。本当なら、マスタードラゴンの力そのものを持ち帰りたかったんだろうけどね」 妙に納得のいく答えを導き出して、一行は内部を進んだ。 狭い部屋に、扉が1つ。
この中に何かある。 もはや、本能的に感じ取っていた。
そして……あった。
「ドラゴンオーブ……とでも呼ぶべきかな」
床一面に描かれた、巨大な竜の絵。 青い光を放つ、丸くて小さな物体。 だが、そこから流れ出るオーラは、ゴールドオーブと比較しても、圧倒的な力を放っていた。
そっと蔵馬が手にのばすと、オーブは拒否する反応もなく、彼の手に収まった。
「……どんな感じ?」 言いながら、蔵馬はソレを息子たちに差し出した。
「……本当だな」 「ああ、何となく分かるよ。妙な感じもするね」 くすくす笑う蔵馬。
「やっぱり、不思議な玉だね」 でも、感謝はしたい。
その後、石像内部を探索した結果、ドラゴンの杖なる武器を手に入れ、蔵馬は久しぶりに剣以外の武器を装備した。 「……何か面白くない」 むっつりする碧に、紅光は苦笑するしかなかった。
そして、ようやく塔から脱出。 意気揚々と天空城に帰ろうとして……城がないことに気づいた。
「……誰か移動させたみたいだな」 蔵馬の呪文で、全員が宙に舞い上がる。
そこでは、おどろくべきことが待っていた……。
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