第三章 〜砂漠の国〜
その1 <熱い>
「あぢ〜〜」 何処かのくだらん小説で聞いたような台詞だが……。 とにかく、「暑い」を通り越して「熱い」のだ。
ところで、蔵馬たちが今何処で何をしているのかというと……。 呂魔理亜の国から火座亜武の村にかけてのモンスター退治……(という立前の元、蔵馬の指導によるレベルアップのための修行、及び戦闘における作戦の立て方等の強化訓練)を終え、次の大陸へと移ってきたのだ。 当然、その度に文句は言われてきた。 ついでにというか、自然というか、そのまま大げんかにも発展するしで(蔵馬以外と)、結局の所、単に長居していただけで、なかなかレベルアップには繋がらなかったのだが……。
ちなみに、今現在の彼らのレベルはというと……。 |
現時点での勇者一行の状態 |
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幽助 | LV.7 | レベルアップ、何とか皆に追いついてきた。 ただし未だに一番遅く、呪文も「弐不羅無(ニフラム)」以外、習得ならず。 使ってみたが、効いた試しはない…(それも当然。魔法が効かないモンスターだったんだから…) |
桑原 | LV.8 | 2章と同じく……レベルUPの意味、まるでなし…。 |
飛影 | LV.9 | 魔法「鷹の目」取得。 ただしずっと蔵馬が使っているため、あまり意味がない…。 |
蔵馬 | LV.9 | MPの上昇スピードUP。 ただし、今のところMPを必要としない呪文しか会得していない…。 |
と、蔵馬指導による地獄の特訓を受けた成果は、出たのか出なかったのか、よく分からない結果に終わってしまった。 レベルは上がるが、能力値がそれについてきていないような状況…。 特に幽助はとっくに帰還魔法「留宇羅(ルーラ)」を覚えていていいはずなのに、未だに覚えていないのだ……。 最も、MPの低さを考えると、覚えてくれても大して期待は出来ないが…。
だがしかし、ここで1つ、疑問が浮かぶ。 簡単な話なのだが、幽助たちが駄々をこねだしたのだ。 蔵馬も最初は抑えてきていたが、いい加減面倒にもなりはじめ、あまりの五月蠅さにもウンザリしだしたのだ。
しかし……特訓終了に最初に後悔したのは、蔵馬ではなく、幽助(たち)であった。 一時は、新たな双六場を見つけ、生気を取り戻したが、生憎以前のものより難度が数段高く、いくらやってクリアならず……。 幾分か外よりは涼しかったので、しばらく涼んでいきたかったのだが、夜になれば凶悪モンスターが徘徊して、余計に出たくなくなるだろうと言う蔵馬の説得(というより脅迫…)には勝てず、結局出発したのだ。 これでは、前の涼しく森がたくさんあり、資源も豊富で飯や水には苦労しなかった、あっちの大陸の方でゴチャゴチャやっていた方がずっとよかった……。 しかし、駄々をこねて次へ行きたいと言ったのは自分たち……単に暑いからという理由だけで、元の大陸へ帰りたいなどと、ただでさえ暑さでイライラしている蔵馬に言えるはずがないのだ……。
「ところでよ〜、蔵馬〜」 汗を拭きつつ、暑さで人相が数段悪くなった顔を向けて尋ねる幽助。 「森を抜けたから、もうすぐだ。北の方に…」 返す言葉がなく、黙り込む幽助。 なのに、幽助は蔵馬がそれを言う前に、双六場が近くにあると言っただけで、森目掛けて一直線に……。
「まあ、夜になる前にはつけそうだからいいけど……って、あれ?」 くる〜りと振り返ってみる幽助。 「あ、飛影がいねえ…」 嫌な予感がしたのか、蔵馬が元来た道を走り出していった。 「お、おい、待てよ!蔵馬!」 慌てて後を追う幽助。
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