第二章 〜呂魔理亜国家〜
その1 <逆ギレ>
現時点での勇者一行の状態 |
||
幽助 | LV.4 | 熱血漢で力ばかりグングン上がっている。 が、運がないため、すぐに攻撃を喰らってしまう…。 |
桑原 | LV.6 | お調子者で運の良さは天下一品。 しかし遊び人ゆえに、すぐ寝てしまい、あっさりとやられる…。 |
飛影 | LV.6 | 一匹狼ならではの素早い動きで、先手を取りやすい。 だが、攻撃力自体はいまいち…。 |
蔵馬 | LV.6 | きれものの賢さ炸裂、MPは留まるところを知らぬ勢い。 ただし、まだ呪文は拾得していない…。 |
……上記表示の通り、勇者一行こと浦飯幽助たちは、この上な〜く、調子の悪い旅のスタートを切っていた。 亜利亜半大陸から次の大陸への基本到達レベルは10。 この具合では、次の大陸へ渡るのはほぼ自殺行為だろう。 いくら幽助たちが大分ゲームに慣れてきたとはいっても、彼らが相手をしてきたモンスターのレベルといえば、せいぜい6が限度。
行って早々に、亜利亜半に帰宅ということも、充分考えられるのだが……いちおう天は彼らに味方したらしい。 最も、蔵馬以外はまだ、あの小さな泉が、別の大陸へ繋がっていたことになど気付いておらず、まだ亜利亜半の何処か片隅にでもいるのだろうと思っていたのだが……。
「よお、幽助。久しぶり」 ドッターンンッ!! 「な、な、な」 幽助が驚くのも無理はない。 「ここ亜利亜半の城なのか!!?改装でもしたのか!!?せっかく別の街へ来たんだと思ってたのに……まさか俺をはめるために、わざとやったんじゃねえだろうな!?」 コエンマの落ち着き払った声と、その内容に、幽助の動きは一瞬ピタッと止まった。 「ここは呂魔理亜(ロマリア)。亜利亜半から北西へ何百qも行った先にあるかなり大きな国だ」 怪訝そうな顔で見遣る幽助に、再び怒鳴りつけるコエンマ。
「んなわけないだろ!!……っと、本題に移らんとな」 いきなり学校の教師のようなことを言われ、呆気にとられる幽助&桑原。 「課題をクリアしたら、次のステージに進めるようになっておる。で、呂魔理亜からは『環駄太(カンダタ)という盗賊から、金の冠を取り返すこと』だ。そしたらここで勇者と認められるからな。割と簡単な方だと思うが、早めに……ん?どうした?」 ふと、幽助たちが俯き、黙り込んでいるのを見て、コエンマは話しを中断した。 「おい、どうした?」 何とか聞き取れた僅かな幽助の発言。
「ふざけんなー!!!」
ビリビリッ… いちおう念のために書いておくが、上の効果音は、コエンマの鼓膜が振動しまくっただけであり、決してまだ破れてはいない。 「てめー、おれたちがどんだけ苦労してここまで来たか、分かってんのか!!?なのにこれ以上仕事しろだと!!?」 桑原まで言い争いに参加……。 「勇者として認めるだ!?ふざけんな!!俺たちは認められるためにやってるんじゃねえ!!」 今度はコエンマが逆ギレ……。 「別に勇者だって認めてもらわなくたっていいぜ!!もういい加減頭きた!!俺たちは別の方法で進めてく!!行こうぜ!」 激憤状態のまま、床が抜けるくらい足音でデカくたてながら(実際、一部抜けた…)、階段の方へ歩いていく幽助。 蔵馬は流石によくRPGをしているだけあって、イベントなどには詳しく、これくらいのことは予想がついていたのであろう…1人冷静だった。
「コエンマさま〜。もうちょっと言い方なかったんですか?」 幽助たちが去った後、コエンマをなだめながら、尋ねてみるぼたん。 「五月蠅い!あいつらもう許さん!!気が変わって王冠持ってきても認めてやらん!!」 ふうっと深く深くため息をつきながら思うぼたん。
|