<お料理しましょv> 3 (璃尾)

 

「蔵馬〜〜〜(激怒)」
「そんなに怒らないでくださいよ。なんとか枯らせますから〜〜」
「そういいながら、もう1時間も経っているんだぞ!普通怒る!!」

ずっと分厚い魔界の本を捲り続けている蔵馬。
飛影はイライラしながらも、動くと成長が促進すると言われ、ベッドの上に座っていた。

「ちょっと待ってくださいってば〜〜。自分の体で成長させたのと、他人の体で成長させたのは、
全然対処法が違うんですから。オレ、他人の体で成長させたのもは、最後まで使う主義ですから」
「おい……」

『最後まで=死ぬまで』
飛影にとっては、冗談にもならない……。

「う〜〜んっと……あ、あった!」
「本当か!?」
「はい!もう大丈夫ですよ!えっと、まずですね〜〜……飛影、ちょっと立っててください」
「え?動いて平気なのか?」
「はい、すぐ済みますから」
「そうか」

ほっとし、立ち上がる飛影。
頭の上のシマネキ草が、風に吹かれて、ゆらゆら揺れる。

「えっと〜〜」
「おい、貴様。何をしている」

何故か机の引出しをひっくりかえしている蔵馬。

「え?ちょっと必要なものがありまして……あれ〜?おかしいな〜〜??」
「何だ?」
「マッチかライターでいいんですけど……」
「何だ、火か……」

ボッ… 飛影の右手から、黒い炎がほとばしる。
魔界の炎だ!

「ああーーーーーーーー!!!ダ、ダ、ダダ、ダメですよ!!!
飛影が自分で出しちゃーーーーーー!!!」
「は?……な、何だ!?」

飛影の右手から、ものすごい勢いでシマネキ草が芽を出し、蔓を伸ばし、つぼみまでつけだした!!

「な、なんだーーーーーー!!??」
「飛影!火、消して消して!!」

そう叫びながら、バンバンと飛影の右手を素手で叩き、火を消そうとする蔵馬。
蔵馬の両袖が炎に燃やされ、白い腕が剥き出しになっていく……

「た、叩かなくていい!!自分で消せる!!」

ぐっと蔵馬の腕を押し返し、黒い炎を消し去る飛影。
幸い、飛影の腕のシマネキ草は、花を咲かせるまでは至らず、そのままの状態で落ち着いた。

「はあ〜〜〜〜、よかった〜〜〜〜〜、飛影〜〜〜〜〜〜〜」

混乱の後の安心のせいか、半泣きになる蔵馬。

「蔵馬…」
「シマネキ草は、オジギ草と同じで、火気を好むんですよ〜〜〜。
よかった〜〜〜〜、たいしたことなくて〜〜〜〜〜」
「蔵馬……お前、その手……」
「え?ああ、これですか」

蔵馬の両腕は袖が完全になくなり、剥き出し状態。
しかも、その白かった手は、火傷のせいで赤くはれ上がっていた。

「どうってことないですよ。貴方が無事だったんだから、それでいいです」

ニッコリと微笑む蔵馬。飛影はばつ悪そうに俯いた。

「……バカか……お前は……」
「そうかもしれませんね…………ああーーーーーーーー!!!!」
「な、何だ!?またゴキブリか!?」
「ほ、本が……」
「あ゛……」

何ということだろう…。
蔵馬の魔界植物図鑑は、ちった火の粉の影響をもろに受け、真っ黒に……。

「……」
「……」

2人そろって固まってしまう……。