<食い倒れ> 1 (小雪さん)

 

「わーっ!!!飛影、ちょっとちょっと!!」
「なんだ?うるさいな・・・」

昼寝中の飛影を、郵便受けを調べに行き、帰ってきた蔵馬が叩き起こす。

「見てこれ!!商店街の買い物無料券あたっちゃった!!」

蔵馬が見せたのは一枚の券。

「ふん、それだけで俺を起こしたのか?下らんヤツだ・・・。」

飛影は元のようにごろりとねっころがる。

(どーせまた服買うの手伝えだとかいうんだろう・・・。)

飛影が片目でちらりとくらまを見ると、

「おれ、食い倒れって一度やってみたかったんですぅ〜・・・」

などといっている。

(食い倒れ・・・?)

「蔵馬、食い倒れって何だ?」

飛影がむくっと起き上がって聞くと。

「ん?倒れるまで食べて食べて食べまくる・・・夢のような話です・・・。」

蔵馬もいくら上品そーに見えても別に大金持ちって訳ではない。

「・・・でもその夢のような話が本当の話になるんですvV」

どうやら蔵馬はこの券をショッピングではなく食い倒れに使うらしい。

「たのしみー・・・vVあ、これ4人分だし飛影も行こうよ!」

蔵馬がにっこり笑う。飛影だってこの悩殺スマイルには勝てない。
まあ今回は飛影も興味を示していたのだから、関係のない事だが。

「・・・・行く。」
「よしっ!じゃあ幽助と桑原くんも誘おう!」

・・・もちろん2人は断るはずもなく、予定日まで絶食を始めるのであった。
もちろん、蔵馬も・・・。しかし、飛影は違った。

「はぐはぐ・・・・・」

何時ものように朝食を食べる飛影。

「飛影〜、そんなに美味しそうに食べないで下さいよう・・・」
「絶食なんかしなくても朝になりゃぁ腹は減るだろうが。お前にしては馬鹿じゃないのか?」
「・・・・・・・・」

そしてやってきた食い倒れ当日。

「おっはー!!!!とうとうやってきました食い倒れ当日!!皆さん元気ですか〜?」
「蔵馬・・・お前絶食するって言った割には元気だな・・・」

無理な絶食をしてげっそりした幽助がか細い声で言った。
その隣の桑原も、どうやら餓死寸前らしい。

「いやあ・・・もう俺我慢できなくって、食べちゃったんですよねー。ちょびっと。」

蔵馬がにこにこしている。

「スイカ3つに玉蜀黍5本、飯8杯に味噌汁15杯飲んだののどこがちょびっとだ?」

飛影がじろりと睨む。

「あはは・・・まあいいじゃないですか。」

(いいのか・・・・・・?)

一同、幽遊商店街へ。