<熱唱!カラオケバトル!> 1

 

「よっし、皆でどっか行こーぜ!」
「・・・は?」

それは彼の突拍子も無い発言から始まった。

浦飯幽助、元霊界探偵。
この者霊気を操る人間として活躍していた時分に2度命を落としている。
しかし、あるいきさつで魔族として復活し、その後も確かにやっかいな問題に出くわしながらも、もちまえの楽観的思考で解決し(?)現在母親のコネでラーメン屋台を営みながら平和(?)に暮らしている。

そしてそんな彼の特技は、周りの人間が予想もできない様な言動を何も考えずに平気でいきなり行う事である。

 

「どっかってどこだよ!?」
「急にどうしたんです?」
「・・・くだらん」

上の3つのツッコミ・・・
もちろん同一人物がはなった言葉は一つも無い。
3つとも別人の言葉なのだから、幽助を除いても必然的に3人以上の人間が同じ場に居合わせていたということになる。

そう、桑原、蔵馬、飛影の3人、そして幽助がとある場に集まって久々に会ったのだからと遊びと称した酒盛りをしていたのだ。
(もちろん幽助の提案。そして飛影は半ば無理やりに)
そんな途中でいきなり宴会と関係のない事を言われたのだから、いくら幽助の性格を承知している仲間とはいえ一瞬は戸惑うだろう。

「で、何でなんだよ?ここでいいじゃねーか、動くのめんどくせーしよ。」
「オレも飲み直しならちょっと・・・明日大事な仕事が入ってますから。」
「バーカ、違ぇよ!もっとおもしれートコ行って皆でバトルロワイヤルすんだよ!」
「・・・はぁ?」

最後に素っ頓狂な声をあげたのはもちろん桑原。
蔵馬と飛影はそれこそ無言だが、心の中では桑原と同じような感想を持っているかもしれない。

「バトルは別にいいけどよ〜、なんで急にんな事思ったんだよ?」
「酔ってるんでしょう。そろそろお開きにしますか?」
「バーカ!俺は酒は飲んでも呑まれねーよ!」
「俺だって酒ごときにやられてたまりますかってんだ!」
「フン、単純バカなヤツほど酒に呑まれにくいのか・・・」
「なんだと〜飛影てめー!!」
「このクソチビ!」
「まぁまぁ。」

お約束通り口ゲンカを始める幽助、桑原、飛影。
そしてそれをなだめる蔵馬。誰一人として昔と変わりなく喜ばしいことこの上ない。

・・・・・と言っていいのだろうか?

 

 

「まったく、相変わらず勝負好きだな。バトルで万が一普通の人間を巻き込んでしまったらどうするんだ?」
「ばーか、俺がんなヘマするかよ!誰にも見つからねーとこで・・・ってコエンマー!?」
「よう、久しぶりだな。」

のんびりと暢気にゆっくりと自然に入ったツッコミ・・・
それは見かけ(うすらちっこいガキ/笑)によらず、霊界で最も高い地位にいるエンマJr、コエンマのものだった。(ちなみに今は青年姿)
彼も昔と全く変わってないらしい・・・

「このやろー!ホンッとにいつもいつもおどかす事ばっかしやがって〜!」
「お前もそろそろワシの気配ぐらい察しろ。本当にいつまでたっても成長しんな。」
「うるせ〜!!」
「はぁ・・・幽助、それくらいにしといたらどうです?コエンマも何か用があるんじゃないんですか?」

あきれつつも、冷静に場を沈めるのは完全に蔵馬の仕事と化してしまっている。まったくもって気の毒だ・・・

「いや、特別な用があるわけではない。仕事をしてる最中に急にお前らがどうしてるのか気になってな。霊界テレビで探してみたら酒盛りしてるお前らの姿を見つけてワシも仲間に入れてもらおうと出向いたのだ。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・(かすかな沈黙)

 

「そ、それだけのために霊界の仕事ほっぽらかしてきたのかよ?」
「いや、むしろ仕事をサボるために此処にきたんじゃないですか?」
「フン、あきれた野郎だ・・・」
「こりゃ!次々と無礼なことをぬかすな!仕事はちゃ〜んとジョルジュに任せてきておるわ!断じてサボってなどおらん!!」
「そぉゆうのを世間ではサボリって言うんだよ!」

そうして幽助たちがぎゃあぎゃあ言い争ってるころの霊界で、コエンマの秘書の様な下僕の様な遊び道具の様な可哀想なジョルジュ早乙女が山済みの書類の中で魂をなくしたという・・・

 

 

《ここから先セリフ中心にさせていただきます・・・》

幽「ったく、相変わらず無責任なやつだぜ。」
コ「お前が言うな!まあそれはどうでもいいとして、
  バトルロワイヤルの話に戻るが、何故急にしようと思ったんだ?」
幽「あ?最近なんもなくてヒマなんだよ。体動かせるような事もねーしさー。
  んで、久々に勝負でもしてーと思ってよ!」
桑「あら・・・ってなんだぁそれは!!くだらなすぎて涙モンだぜ!」
蔵「そんな事だろうと思いましたよ。」
飛「貴様の勝手な都合で俺を巻き込むな・・・っ」

幽「何だよ飛影!オメーバトル好きじゃなかったのかよ!」
蔵「飛影は振り回されるのがイヤなだけですよ。本当にプライド高いですから。」
飛「いちいちうるさいぞ!」
桑「とかなんとか言ってよ〜、オメー負けんのが怖いだけじゃねーのか〜?
  まっ、この俺様がいるんじゃしょーがねーけどよ!」
飛「・・・死にたいなら今すぐ殺してやる・・・」

コ「まぁまて。さっきから殴り合いのバトルとして話が進んどるが
  それはやはりいいとは思えんぞ。いっそのこと別のもので勝負をすればどうだ?」
蔵「別のものって?」
コ「うむ、幽助。お前ようは暇つぶしになるものならいいんだろ?」
幽「まぁな。こうスカッとするもんなら別になんでもかまわねーけどよ。」
コ「よし、それならワシにいい考えがある。」
桑「なんだよ?」

 

コ「それは・・・カラオケだ!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・(かすかな沈黙Pr2

 

幽「カ・・・」
全「カラオケ!?」
コ「そうだ。それなら暇つぶしになるし、人間を巻き込むことはないし、
  スカッとするし、勝負もできる。まさに一石四鳥というものだ!
  ふっ、今更だがワシって本当に天才だな・・・」

幽「カラオケか・・・そーいや最近行ってねーな。」
桑「なんかおもしろそーじゃねーか!俺はのったぜ!」
コ「蔵馬、お前は?」
蔵「オレは別になんでもいいですよ。」
コ「そうか。飛影、お前はどうだ?」
飛「くだらん。お前らだけで勝手にやってろ。俺は魔界へもどる。」

蔵「あれ?飛影って歌唄えなかったんですか?」
飛「なっ、貴様!なんでそうなる!?」
蔵「だって勝負する前に逃げ出すって事はそういう事でしょう?」
飛「ふざけるな!誰が逃げた!!」

蔵「歌を知らない何処かの邪眼師ですよ。」
飛「なめるな!俺だって歌くらい知っている!」
蔵「ほぉ〜、じゃあ勝負しますか?」
飛「望むところだ!・・・!!!」←(ここでやっとのせられた事に気づく。)

 

幽「さ、さすが蔵馬・・・」
コ「うーむ、見事な手なずけだ・・・」
桑「餌付けより簡単なんじゃねーのか?」(完全に動物扱いの飛影)
飛「チッ」

蔵「話はまとまったけど、そういえばどこでカラオケバトルするんです?」
コ「ん?あぁ、それはワシが大きな舞台を用意しよう。出来あがったらまた連絡してやる。」
幽「早くしろよな。こっちはヒマなんだからよ〜!」
コ「心配するな。2,3日もすれば出来上がるだろう。」

 

桑「よっしゃ!3日後は雪菜さんとの愛の力で絶対優勝だ!」
飛「フン、くだらんことを言ってるヒマがあれば、その失敗ヅラを少しでも
  ステージ映えするように研究でもしておくんだな。」
桑「なっ・・・もっぺんいってみやがれこのヤロー!!」
飛「くだらんことを言ってるヒマが」
幽「あーもーっ!今ケンカすんなって!」
蔵「決着はカラオケでつけて下さい。」

 

 

そして数分後・・・・

コ「とりあえずワシは帰るとしよう。じゃあな。」
幽「おー、ぼたんによろしくな。」

(そしてコエンマ帰る。)

蔵(最初は酒盛りしに来たんじゃなかったのか・・・?)
桑「なんでぇ、コエンマのヤツ、言いたいことだけさっさと言って帰りやがった。」
幽「まあいいけどな。さあ、とりあえず飲もうぜ!」
桑「おう!!」

蔵「まだ飲むんですか?」
桑「あたりまえりんこ!俺らの時間はこれからだぜぃ!」
幽「そーゆーコト!飛影、オメ−も付き合えよ!!」
飛(眠い・・・)

 

こうして4人の夜は更けていった。
そして翌日、蔵馬以外の約3名が二日酔いになり、いろんな意味で
頭を痛めたのは言うまでもない・・・

 

続く