<イキテルリユウ> 8

 

 

『だれだ・・・・我が聖域を汚すのは・・・』
「さっきからそればっか流しやがって・・・どいつだ! 出てきやがれ!」

さっきから聞こえる言葉は,まるでスピーカーから流れているようだった。
それは幽助達にもわかったらしく,本人が出てくるように叫んでいる(出てくるとも限らないが・・・)。

『だれだ・・・我が・・』
「いい加減にしやがれ! でてこい!」
「遊んでやがんのか・・・」
「くだらねぇ〜」

幽助・桑原・飛影はすっかりやる気をなくしたようだ。
まぁ・・・6人衆に会うまでに,2時間歩き回ったのだから仕方がなくもない(加えて戦闘も・・・)。

 

 

「(ったくよ〜コエンマのやろう・・・もしも人間界が滅びるってのがウソだったら・・・半殺しにしてやる・・・)」
「(コエンマのヤロ〜,絶対殴る!)」
「・・・・・」
『だれだ・・・』
「いい加減に・・・しろぉぉぉ!」

幽助・桑原・飛影が違う事を考えている間に,比較的ラク〜な試練で,あまり疲れていなかった陣が,スピーカーを探しだし,破壊していた。

 

「・・・・元気だなぁ・・・」

陣がスピーカーを破壊しているとき,ほかの6人衆は座っていた。
敵と戦うために,体を休めて置くようだ。

「・・・これで全部だべ」

いつのまにか全てのスピーカーを破壊していた陣。まだ元気が残っている様子。
そんな陣を皆は眺めている・・・。

 

 

「!!」

その時,いきなり床が左右半分に割れ,新たに下から床が出てきた。
それはまるで暗黒武術会の船の予選会で見た光景・・・。
陣は急いで,みんなのいる所に飛んで戻ってくる。

「・・・なんだ・・・? 敵の登場か?」
「らしいですね・・」

新たに出てきた床の中心部には,誰かがいるようだった。
しかし,床の中心部には結界が張っているらしく,よくわからない。
だが・・・結界が張ってあっても,その者の妖気は伝わってきていた・・・。

 

「・・・すげぇ妖気だ・・・」
「あぁ・・・・。オレもビンビン感じるぜ・・・」
「・・・この妖気・・・S級だろう・・・」
「・・・そうだろうな」

とか何とか言っているうちに,床がどんどんせりあがってきている。
そして,幽助達がいた場所さえも,割れ始めた。

 

「げっ! これじゃ敵のツラおがむ前に死んじまうじゃねーか!」

桑原はかなりうろたえているが,皆は・・・。

「こりゃ地割れだな,ほとんど・・・」
「故意とは考えにくい・・・」

と,冷静に分析。
桑原は顔が引きつっている。

「つまり・・・・」
「まぁ・・・わざとやるよりは安全でしょう」
「え・・・・・」

 

≪がしゃぁん!≫

 

「うわぁぁぁ!」

床が割れ,どんどん床が落ちていく。
桑原は必死にもがいている。
ほかの9人はと言うと・・・。
飛べる者はとび,飛べない者は飛べる者につかまっている。
桑原は・・・壁に霊剣で引っかかっている・・・。
そこに蔵馬が来て,つかまるように合図する。

「・・・サン・・・キュ・・・」
「いえ・・・」

蔵馬の視線の先には,もう敵が・・・・。

 

 

「・・・・ここまで来る奴がいるとはな・・・。霊界の手先か・・・」

せりあがってきた床は止まり,床らしくなった
だが,床があるのは中心部だけだった。
蔵馬達も中心部にある床に降り立つ。
敵と同じ所に立った・・・。

 

「貴様ら・・・やはり霊界の手先だな・・・」

敵の顔は・・・よくは見えないが・・・怪しい雰囲気をかもし出している・・・。

 

「・・・やばいな・・・」

そう,幽助が言ったのを・・・約一名を除いて,誰も聞き逃さなかった・・・。

 

「お前ら・・・霊界の手先だな・・・?」

敵が,ようやく顔を見せた・・・。
その瞬間,9人は凍りついた・・・。