HOME SICK??* 2

 

 

 

 

 

 

―人間界―

 

 

 

夜の8時。社会人の帰宅ラッシュで電車は満員。駅下のおいしそうな幽助の屋台も今が一番混む時間だ。

 

 

飛影はあと少しで南野家に帰る模様・・・だが家の様子がおかしい。

 

 

・・・・?

 

 

遠目だが見えた。

 

 

家の電気がついていない。蔵馬の部屋もだ。

 

 

それどころか本当にしんとして不気味なくらいだ。

 

 

二階の窓に手をかけると以前は当たり前の様に空いていた窓だが、

 

 

今日はきっちりと閉まっている。

 

 

・・・・・・・・・・・。

 

 

こんな時間に家族で外出でもしているのか??

 

 

・・・・・・・・・・・・。

 

 

何だか蔵馬がいないこがに酷く心が揺れ、

 

 

先ほどとは比べられない焦燥と苛立ちが込み上げる・・・・・

 

 

何故だ!!?

 

 

何故いないんだ!!??

 

 

あまり良い予感がしなく、猛スピードで幽助の屋台へ向かう。

 

 

ひゅっと風を切る音もするくらい速く飛影はたどり着いた。

 

 

「らっしゃいーってあれ飛影じゃん。久しぶりだなぁってどうしたん?こえー顔して」

 

 

「おう、お前がこっちくんなんて珍しいな。」

 

 

屋台には桑原もいた。

 

 

「・・・・・・・・つがいない!!」

 

 

「ん?」

 

 

「あいつがいない!!どこへ行ったといっている!!??」

 

 

「はっ!?あいつって誰だよ??てかなんでお前そんな怒ってんだっ!?」

 

 

少々雰囲気に圧倒される幽助を桑原は完全に非難していた。

 

 

「蔵馬だ!!殺されたくなければ答えろ!!あいつはどこだ!?」

 

 

「えっ、ああ、蔵馬ね。なんも殺さなくてもいーじゃん。俺も知らねーよ!!」

 

 

「貴様人間界に居ながら知らないというのか??久しぶりに来てみれば鍵はかかってるわあいつは居ないわこのザマだ!!」

 

 

「いや、だってあいつも俺も忙しいじゃん!そんな会ってるわけじゃねーし。あ、っほら桑原は?お前、蔵馬に勉強みてもらってんだろ?」

 

 

「いや、俺会ったの先週の金曜だし今どこに居るのかなんてしらねーって。色々魔界との柵あって未だにやる事あるんじゃねーの?」

 

 

ぶるぶるしながら必死に答える。

 

 

「ああ!ほらオメーよく見えるお目々もってんだろ!!邪眼使えって!忘れてただろ今まで!!」

 

 

本当に焼き殺しかねない剣幕で黒い炎をバックに纏っていた飛影は急にぴたっと大人しくなった。

 

 

「フン・・・・」

 

 

と言いながら去っていってしまった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

・・・・ふぁーーーーーーーって、

 

 

「あーーーーもうなんなんだよ、一体!!本気で可愛い天使ちゃんの良いユメ見ちゃったぜ」

 

 

今のセリフは桑原である

 

 

「まぁ、お前ならいつでもウサ晴らしに殺されそうだな。飛影、つぶれ顔が嫌いだって言ってたし。ふー、また屋台壊されなくてよかったよなー」

 

とブツブツいいながら幽助も一息つく。

 

 

「なんだとーーーー?」

 

 

「まぁ、いいじゃねーか。鬼は去ったんだし。」

 

 

「全くあいつは何そんな起こってたんだ??ちーっと蔵馬が居ないくらいであんなカッカしなくてもよぉ;」

 

 

「そのちょっと居なかったから困ったんだよ」

 

 

「?」

 

 

あれだよきっと

 

 

「俺ガキの頃さ、今まで何回も寝て目ぇ冷めたらお袋が家に居ないっつーのは当たり前だったんだけど、

 ある日遊んで帰ってきたら家は空いてないしお袋は居ないだしですっげー不安になったんだよな。

何か、もうお袋が家に帰ってこない気がして。ああ俺、置き去りにされた思ってドアの前でずーとひいひい泣いてたんだよなー。

家の中もお袋が居ないってだけで何かガランとして家に生気がないっつーかこわいっつーか俺の居場所じゃないような感じで。」

 

 

「結局お袋は近場に買い物に行ってただけですぐ帰って着たっつーオチなんだけど、

あまりにも平然とした顔で 『ああ、あたしが居なくて不安だったんでしょ?ごめんねー。あんたも可愛いところあるじゃない♪』 なんて言うから

俺、嬉しくて安心したのに 『お前なんかもう帰ってこなくていい!!』 なんて泣きしゃぐりながら喧嘩したんだよな。」

 

 

 

「へぇーオメーにもそんなガキらしい子供時代があったんだなー。で?それが??」

 

 

「だから、あいつ見てたらそんなんじゃね?」

 

 

「?」

 

 

「もしかして飛影がガキで蔵馬が母親ってか??」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷっ

 

 

 

「そりゃいいな〜笑えるぜ!」

 

今の・・・の間に面白げな想像をした桑原はげらげらと大爆笑をした

 

 

「何かはまり過ぎてしゃれになんねーから余計に笑えるなっ」

 

 

桑原があまりにも笑うんで、つられて言い出した幽助も笑う。

 

 

「でさぁ肝心の蔵馬かぁさんはどこいったんの?」

 

 

「ぷくく、蔵馬母さんか。あーだから俺もしらねーよ。ちょいと買い物にでもいってんじゃね??」

 

 

「ありえるな・・くく・・・あれ?あいつの家族引っ越したとか言ってなかったけ?

で、蔵馬も別で一人暮らし始めるとかで」

 

 

「あーー!!そういや2ヶ月くらいに言ってたかもしんねー。

まだ家知らないんだけど宅飲みでんじゃんて俺いったけ。」

 

 

 

(まぁ、邪眼があれば見つけられるだろ

アレ結構便利グッズだな

あいつテンパるとおもしろいなー)

 

 

 

 

結構良き友達な幽助。