第六部 ADVENTURER’S INN 冒険者の宿

〜あなたの個人情報は宿屋の主人に流出している可能性があります〜

 

 

幽:蔵馬ー 霊丸うちてーよ
蔵:無茶言わないでください、ここはゲームの中なんですよ。
幽:じゃ、波動拳でいいから
コ:何のゲームの話をしとるんじゃ!

 

 

(集団先頭からちょっと離れた所)

駒:おーい 桑原ー 生きてるかー
桑:……あー (焦点が合わず呆然としながら歩いている)

 

(さらに少し後ろの方)

鈴:(死々若をつまみ上げた状態で歩きながら)生きてるかー
陣:ちっとも動かねーだぞ……おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおい!ししわか〜〜!
死:(反応なし)

 

駒:とりあえず桑原のほうは半分死んでるみたいだけど、一応一人で歩いてるから大丈夫そうかな?
酎:こっちは反応なしだぜピクリとも動かねぇ
凍:返事がないな、ただの屍のようだ。
駒:それどっかで聞いたことのあるセリフだなー
酎:まばたきもしねぇ、まるっきり人形みてぇだ。
鈴:人形というよりはヌイグルミといったほうが――

死:だれがヌイグルミだ――――!
陣:あ、生き返っただ!
鈴:よかったな、死ななくて。
死:よく無い!というかなんだその犬を持つみたいな持ち方!痛い、さっさとおろせ!

 

ボテ!

 

死:Σイデ もっとそっとおろさんか!
鈴:ネコだったらもっと上手に着地できるぞ。
死:きーさーまー
鈴:それに人にモノを頼む時はもっと 謙 虚 にしなさいと、いつも言っているだろう?
死:いつから貴様はオレの保護者になったんだ!

酎:元気そうだな
凍:ああ
陣:ところで、蔵馬は桑原と死々若になんていっただ?オラ遠かったんでよく聞こえなかっただよ。
凍:陣……世の中には知らない方が良いこともあるんだぞ。
酎:カタイこと言わずに教えろよ。
凍:やめてくれ、速く忘れたい。

 

 

 

(雑談をしながら宿屋に到着)

幽:おーここが冒険者の宿か。
酎:けっこーでけーな。
蔵:皆、そっちじゃなくてこっち。

幽:へ?

駒:ねーオイラにはどう見ても 馬 小 屋 にしか見えないんだけど。
蔵:馬小屋です。
駒:マジ!?
酎:即答すんな!
幽:オレら馬と雑魚寝かよ!?

 

蔵:はい、じゃ前回の戦闘で呪文を使った人集まって。
酎:おい!
幽:無視すんな!
蔵:宿屋の施設は“馬小屋”しか利用しません。
幽:んだとーー!?

蔵:タダですし、他にもメリットがかなりありますから。
幽:チッ、わーたわーた!
酎:馬小屋でガマンすりゃいいんだろ!
蔵:今回休むのは呪文使う人だけです。

 

幽:なにーーーーー!!?
蔵:馬小屋は泊まっても体力が一切回復しないので、戦士などは特別な時意外、全く止まる必要が無いんです。
駒:特別な時?
蔵:それは後で説明します。とりあえずまずは呪文を使った人を休息させますから。

幽:〜〜〜〜〜〜〜
酎:じゃーさっさとオメーら全員でいってこいや!
蔵:宿屋へは一人づつしか泊まれませんから、それは無理ですね。
幽:なんじゃそりゃーーーーーーー!
蔵:それではまずコエンマから。
コ:お、おお…(もう疲れて死にそうだ。)

(コエンマ馬小屋へ入る)

 

酎:あーあコレじゃ全員寝るまで何日かか――

バタン

酎:おおお!?

(突然宿屋の裏口が開き宿屋の主人が出てくる)

主人:コエンマ は寝ています。次のレベルまであと 844 の経験値が必要です。

バタン

(宿屋の主人退場)

 

幽:な、なんなんだいまの??
コ:おはよう。
幽:な、はえーぞおい!
蔵:はい次、凍矢行ってください。
凍:ああ。

(凍矢馬小屋へ入る)

コ:馬小屋に入っると時間の流れの感じ方が違うようじゃな。
幽:へーじゃ中では何時間にも感じられんのか。
酎:蔵馬、今のはなんだったんだ?
蔵:このゲームでは宿屋で寝ないとレベルアップしないようなつくりになっているんです。
  おそらく宿屋の主人はパラメータの変化やあとどのくらいの経験値
  でレベルがアップするのかを知らせるために来たんでしょうね。
酎:本物のゲームの方でもああやって宿屋のオヤジが勝手にやってきて叫んだりすんのか?
蔵:いえ…おそらく海賊版の製作側の趣味でしょうね。

 

 

バタン

主人:トウヤ は寝ています。

(以下省略)

 

酎:うお!……イチイチビビらせんなよ。
幽:その海賊版作った奴ってのはかなりいい趣味してんな。
凍:全くだ。
幽:はや!
駒:馬小屋の寝心地はどうだった?


&:最高だ (←意味は好きにおとりください)

蔵:はいそれじゃ鈴木……?鈴木、怪我をして無いか?


&:(ギク)

鈴:ああ  ち ょ っ と な。
蔵:かなり深い傷みたいだが、どうしたんだ?
鈴:(二人の方をチラリと見て)あまりにもバカバカしくて話す気もおこらん。

 

 

 

〜その頃現実世界では〜

(パソコンの画面に集まっているぼたんたち)

ぼ:あ!幽助たちが城に還ってきたみたいだね。
静:ところでぼたんちゃん、さっきから幽助君たちの姿が映ってないんだけれど

ぼ:(説明書に眼を通しながら)
  うーん、どうやらこのゲーム、キャラクターの姿は名前の文字以外は一切、影も形も出てこないらしいよ。
螢:それじゃ幽助たちに何かあったときはどうするの?
ぼ:キャラクターに何かあったときにはちゃんと表示されるから心配ないよ。
  それに、何せあっちにゃ頭脳免責な蔵馬やゲーマーの師範までいるんだし。

静:螢子ちゃんそんなに心配?
螢:そ、そーゆーつもりで言ったんじゃありません。
  あたしはただ、あのバカに返してもらいたいものがあるからそれを心配してるんです。
雪:返してもらいたいもの?
ぼ:まーたまたそんな事いっちゃって〜
螢:ぼたんさん〜〜〜〜

 

 

(某マンションの一室)

温子:へーっくし!
   あーやだ、久々にこんなカッコしたから風邪引いたかな?

(詳細に関しては19巻参照のこと)