第三部 はじめての迷宮 〜パーティ1 後編〜

 

〜現実世界〜

ぼたん(以下ぼ):ふう どうやらパーティー1の方は今戦闘に入ったみたいだね。
雪菜
(以下雪):ぼたんさんジョルジュさん、お茶が入りましたよ。
ぼ:あいや〜〜こりゃどうも、ありがと、雪菜ちゃん。

雪:それにしても皆さん何処へ言っちゃったんでしょうね…
ジ:ほほほ本当ですねぇ。ね!
ぼ:ほ、本当だね!一体何処ほっつき歩いてんだか―――

こんにちはーーー!!!

雪:あ、どなたかいらっしゃったみたいですね。ちょっと私、行ってきます。

(雪菜退出)

 

ジ:はぁ〜〜〜〜。どうにかなりましたね。
ぼ:まさか「この中にいます」なんて口が裂けても言えないよ。
  いつまでごまかし切れることやら。

 

 

 

〜こちらはゲーム世界〜

蔵:桑原君! 陣! 死々若!  大丈夫か!
陣:ふひぃ〜〜〜なんとか。
桑:いーってててて……何だこいつらいきなり襲ってきやがったぜ。
死:クッ…このバカ(桑原)。デカイ音たてて蹴破るから感づかれたではないか!

蔵:桑原君のせいじゃありません。きっと※奇襲をしかけられたからです。
飛:奇襲?
桑:蔵馬!なんだその“奇襲”ってのは…
蔵:詳しい説明は後です。
  それより敵を倒す事に専念して、ほらまた襲ってきましたよ。
桑:ちっ、わーってるよ!

 

陣:(ヒュン!ガガガガガ!)
  おおお!!くっそー体がついていかねー!
死:
(ドカッ!)
  
く、何だこいつら、蔵馬!こいつら本当に雑魚なのか?!

蔵:きっと眼(動体視力)も落ちていからですよ。
  自分たちが普通の人間並みの力しかないのを忘れないでください。
  S級妖怪と戦っているぐらいの気持ちで向かってってください。

桑:へいへい、S級妖怪ね!おおっと!
  
(ドカッ!)
陣:
(シャッ!シャッ!バキィ!!)
  へへへへ!大分なれてきただ!

飛:…………。
蔵:飛影、おさえておさえて。戦いたいのは分かりますけど。
飛:フン。

蔵:敵はオーク四体か…コエンマ、呪文を唱える準備しといてください。
コ:お、おお、わかっとる!

 

※奇襲…奇襲を仕掛けられると、そのターンこちらは一切行動することができず、一方的に敵の攻撃を受ける事になる、RPGのおなじみの状態

 

 

 

〜こちらは現実世界〜

螢子(以下螢):こんにちはー。あ!
         ぼたんさんにそれからえーっとジョルジュさんでしたっけ?
ぼ:お〜や螢子ちゃんに静流さん!
静流
(以下静):なんだ来てたんだ。ところで、うちのバカ見なかった?


&:Σ(ギクッ!)

雪:和馬さんなら、幽助さん達と一緒にいらっしゃっいましたよ。
  今、皆さんで買い物に行かれたみたいです。
螢:みんなで買い物?
静:蔵馬君や飛影君も一緒に?

雪:ええ、それから陣さんや酎さん達も一緒に行かれたらしいですよ。
螢:陣さんと酎さん…?ああ、大会に出ていた人たちね。
静:そんじゃしばらく帰ってこないかもね。
  きっとどこかで一杯引っ掛けてくるんじゃない?
螢:そんなどっかの中年オヤジじゃないんだから…

静:ところで、ぼたんちゃん、あんた今日やけに静かだね。具合でも悪い?
ぼ:Σえ? いやいやなんでもないよ。
  ホントやつら、どこいっちゃたんだろうねぇー。

 

雪:そうだ皆さん、和菓子はお好きですか?
  ちょうどここに詰め合わせがあるんですけど
ぼ:いいねぇ、あたしイチゴ大福もらうよ。
静:あたしは塩せんべいもらうね。
雪:じゃあ、お茶用意してきますね。
螢:わたしも手伝いますよ。
ジ:あ、私のお茶はぬるめにしてくださいね。あーその栗きんとん下さい!

 

 

 

〜その頃のゲーム世界〜

死:(スススス!シャ!ドコ!)
  う…!
桑:へ〜っへっへ大丈夫かヌイグルミ〜!

  (ヒュン!ボコッ!)
  
イッテェ!!!
死:
(ドカッ!)
  フン、手元がお留守になってるぞ、失敗面!

陣:(カカカカ!ボボボ!シャ!)
  っく〜!おっもしれ〜!こんなにワクワクすんのトーナメント以来だぜ!
桑:オリャ〜〜!
  
(ドコ!ドコ!ズバ!)
  っしゃー!一匹片付いたー!

飛:ボヤボヤするな、まだいるぞ。
桑:うっせぇぞ!!おおっとぉ!

  (ズコ!)

飛:言ってるそばからコケるな。

陣:桑原!後ろ!
桑:ゲッ!!

(オークは桑原にふりかぶった!)

桑:っ!!!

 

 

………ん?あれ?

死:なんだ?!
陣:急に敵が動かなくなっただぞ?!
蔵:どうやらうまくいったみたいですね。
コ:そのようだな。

桑:蔵馬、何をしたんだ?
蔵:呪文を使って眠らせたんです。うまい具合に眠ってくれたみたいだ。
  ただ、そう長くは眠ってはくれませんよ。
桑:おっしゃぁ!今の内にトドメ刺したる!てぇぇぇい!
  
(ザシュ!)

 

コ:ふーようやく片付いたみたいじゃな。
飛:コエンマ、貴様何かやったか?
コ:ななななにを言うか!ちゃんと呪文で援護したではないか!
桑:飛影、おめーこそなんかやったのか〜?
飛:………
(切りかかりそうな形相です。)

蔵:はいはい喧嘩は止めてください。さ、飛影、あなたの仕事ですよ。
桑:へ?だってもう敵は倒したじゃねーかよ?
  これ以上やることなんかねーだろ?
蔵:ここからが“盗賊”の仕事なんですよ。

 

 

( 今までモンスターがいたところに宝箱が現れる )

陣:なんだべこれ?
桑:宝箱…みてーだな、蔵馬、何だこれ?
蔵:お察しの通り宝箱ですよ。飛影、お願いします。
飛:フン。

(宝箱に歩み寄り、箱を調べ始める。)

桑:蔵馬、いってー飛影は何やってんだ?
蔵:宝箱の“罠”を調べているんですよ。
陣:罠?
蔵:ええ。モンスターを倒すと、このように宝箱が現れる時があるんです。
  宝箱にはたいてい“罠”が仕掛けられていて、
  その罠の種類を見極め、罠をはずすのが盗賊の仕事なんです。

桑:へー、っておい、まさか“盗賊”の仕事ってそれだけか?
蔵:ええ、まあ、序盤は。
コ:わしより使えんではないか…何でもない何でもない!
飛:……
(にらんでます。)

 

桑:ところで何時まで箱いじくりまわしてんだよ。さっさと…
飛:
POISON NEEDLE
陣:!?
桑:ひ、飛影、おめー今何語しゃべった?!
蔵:どうやら罠を調べ終わったみたいですね。飛影、つづりを間違えないように。
飛:イチイチうるさい。

桑:おいさっきから何やってんだ飛影、空中で指ひらひら動かして。
  てかおめぇ英語喋れたんか?
蔵:飛影の前にはみんなには見えないキーボードが出てきているはずで。
  彼は今、そのキーボードに罠の名前を入力しているんですよ。
陣:きーぼーど?
死:蔵馬、きーぼーどとはなんだ?

蔵:人間の発明した機械の部品ですよ。
  このゲームは罠を解除したり呪文を唱えたりといった
  キャラクターの行動はキーボードで入力しなければいけないんです。
桑:つーことはさっき蔵馬やコエンマが呪文を使った時も――
蔵:もちろんキーボードで入力していたんですよ。

 

桑:ん?おい、蔵馬やコエンマがキーボード使えんのは分かるけど
  こいつ(飛影)何時の間に使い方覚えたんだ?
蔵:訓練場にいたときですよ。
  あのとき、特別な技術を必要とする職業を選んだ場合
  訓練場でしばらく特別な訓練をするんですよ。

桑:へー、オレも戦士じゃなくて盗賊にでもすりゃよかったかなー。
コ:やめとけ、訓練場にいる間、ず――――っとタイピングの練習させられるんじゃぞ。
桑:……やっぱ戦士にしといてよかった。
蔵:! どうやら罠の解除が終わったみたいですよ。

 

(カチャカチャ カチリ!ガコン!!)

桑:やっと終わったかこんノロ
  
(ドカッ!)
  イデ!何しやがんだこのタコ!
蔵:飛影、桑原君は戦闘でかなりダメージ負ってるんですから…
飛:フン、しぶとさだけがとりえのこいつがそう簡単にはくたばらんだろ?

蔵:Lv1のキャラクターが敵から三回も攻撃受けたんですから
  いくら桑原君だって無理があります。
  (宝箱の中から金貨を取りだしながら)
  じゃ、帰りましょうか。

陣:え――?!もう帰るだか?
桑:冗談じゃねぇ!オレはまだやれるぜ!
蔵:さっきだって呪文を全部使いきって、やっと敵を倒せるぐらいだったんですよ。
  さ、早く帰りますよ。
陣:でもよー
蔵:大丈夫ですよ、どうせすぐまた戦えますから。
  あ、そうだ。死々若丸。桑原君に回復の呪文かけてあげてください。

死:なに?!
桑:んだとぉ?!こんなヌイグルミの世話になってたまるか!
死:それはこっちの台詞だ!オレがなぜコレの世話をしなければならん!

 

蔵:桑原君が一番ダメージを負っているんです。
  万が一ここで敵に遭遇したら彼は死んでしまいますよ。
死:それはむしろ願ったりだ。
蔵:彼が死んでしまえば、オレたちが死ぬ可能性も高くなります、
  下手をすれば一緒に仲良く心中という事になりかねませんよ?
  分かったら早く呪文をかけてあげてください。

死:………く……何でオレが(ブツブツ)
桑:オラオラ、ヌイグルミ!さっさと怪我治せ!
死:治して い た だ く 立場だろ!貴様こそもっと頭低くしろ!

コ:大丈夫かこのメンバー……

 

蔵:(いつパーティ組みなおそうかな)