第四部 仲間を斬ってはいけません。

 

迷宮内を歩き回るパーティたち

駒:薄気味悪いぐらい静かだな〜。ほんとにモンスターなんているの?
鈴:フフフフフフフフフ
  きっとバケモノどもはこの私がいるせいで襲ってこれないのだろう、ハハハハハ。
  まったく、強さというのは罪なもの…(自己陶酔中)
駒:いや、間違ってもそれは無いから。
凍:(顔をそらし、首を振りながら頭を抱えて溜息)

 

幽:剣ってかっこいいなー、はやく振り回してーぜ
酎:おーそーだな!
幻:先に言っとくが、お前達、剣は振り回すんじゃないよ。
幽:んだとぉ?!
酎:なんでダメなんだよ!

幻:剣っていうもんは元来『刺す』用途にしか使わんのじゃ。
幽:飛影はどうなんだ飛影は!
幻:ありゃ剣の質と使い手の技量であんなことができるのさ。
  それにお前たちが剣を振り回したりしたんじゃ仲間を切っちまいそうだしな。
酎:んなことあるわけねー!
幻:ほうそうかい。じゃちょいとそこらで素振りしてみな。
幽:へ!いいぜ!見てろよ〜。ホッ!よっと!(ヒュン!シュ!

ザク!

駒:Σギャ!
幽:あ…
酎:へへへへ何やってんだよ浦飯。オレお手本見せてやっからよ!

ウオリャ!(ドシャ!

 

鈴:Σぐはぁ!!

 

酎:あ…
幽:…くっそ〜〜今度こそ!
幻:もうやめな。戦闘の前に死人がでる。実戦の時も剣使うのやめて拳にしな。

凍:大丈夫か?
駒:オイラはなんとか大丈夫だけれど鈴木が…
鈴:と、凍矢…今...オレを盾にして避けなかったか?
凍:気のせいだ。

鈴:おい!アイテテテテテ…げ、幻海、傷を治療するアイテムか呪文はないのか?
幻:ない。がまんしな。
鈴:なにー!だがさっき蔵馬が『僧侶が回復呪文を使う事ができる』と言っていたぞ?
幻:使えるってったって一回限りだ。もったいなくて使えるか。
鈴:オイマテぇ!!
幻:魔法使いは全職業中最も弱い職業だからね。まともに食らえば一撃で即死さ。
  攻撃食らったのがビショップ(僧正)のお前でよかったな。

鈴:オレは死んでもいいのか!?

駒:?! し―――!! 何かがこっちに近づいてくるよ。
酎:お、いよいよ敵のお出ましか
幽:っしゃぁ、今度は敵だから遠慮なくぶん回せるぜ!
鈴:だから剣は振り回すな――――!!!

 

 

 

〜その頃の現実世界〜

螢:お茶が上がりましたよー
ぼ:はいな、ありがと螢子ちゃん。
雪:ジョルジュさんはぬるめのお茶が良かったんでしたっけね。
ジ:あーどうも ありがとうございます。

螢:それにしても幽助たち遅いわねー
雪:ええ、そうですね。
ぼ:そりゃ無理ないよ。なにせ一番近い店までは車で五時間かかるんだもんね。
静:ところでぼたんちゃん、あんた何か隠してない?(ニコッ)
ぼ:かかかかかくしてなんか べべべ別に 何も ないよ…

螢: ? (スミに置いてあったパソコンに気づく)あれ?コレなんだろ...

ジ:ア―――――――――――――――――――!
  そそそそそれは、なんでもないですよ。ただのパソコンです!
  その中に皆さんが吸い込まれちゃったなんてことは絶対にありませんからね―――!!

 

…………
…………
…………
………………………………Σハ!!

ぼ:(なにやってんだよ――!!)
螢:……ぼたんさん、
静:いったいどういうことなのか説明してちょうだい。
ぼ:(ヒ〜〜〜〜〜〜〜〜〜)

 

 

 

〜 こちらはゲーム世界 〜

幽:オラオラオラオラオラ!!(ガガガガガガガガガガ ドシャァ!!)おっしゃあトドメだ!霊丸!
幻:出るかボケ
酎:だーはははははは!なにやってんだよ浦飯!
駒:そーゆー酎こそなにその構え?
酎:う、うっせぇ!気が散る!

駒:それにしてもヒマだな〜。後衛ってなにもすること無いんだもんな。なあとう……
凍:KATINO
駒:おお?! 凍矢、いま何語しゃべって…
鈴:KATINO
駒:鈴木まで??!

(敵がガックリと片ヒザをつき動かなくなる)

幻:(ヒュン!ボコ!)
  敵を全員眠らせることに成功したみたいだ。いまのうちに片付けな
幽:言われなくともわかってら!(シャ!ガコン!)
酎:うぉりゃぁ!(ドン!)おーっし戦闘終了!

 

幽:なーんだ けっこう軽いじゃねーか。ビビるほどでもねーな…ってばーさん何やってんだ!
幻:(倒したモンスターの遺体を物色)見りゃわかるだろ、ほら、お前らも手伝いな。
酎:手伝えって…んなコソドロの真似事みてーなことできっか!
幻:贅沢言うんじゃないよ。エンカウントで出会った敵から金を取るにはコレしか方法が無いんだ。
幽:???えんかう…なんだそれ?

幻:このゲームは戦闘が行われる時が大きく分けて二種類あるのさ。
  @固定モンスターの場所に到達したとき と
  Aエンカウントでモンスターに遭遇したとき。
  固定モンスターってのは迷宮内でその場所に行くと確実に出現するモンスターのこと。
  エンカウントで遭遇するモンスターっていうのは今みたいにランダムに歩いている時に遭遇するやつのことさ。

 

幽:……オレにもわかるように説明しやがれ!
駒:うーん@の方は良くわかんないけどAのほうはフツーのRPGと一緒ってことだね。
酎:フツーのあーるぴーじー?
幽:お? 鈴駒、RPGやったことあんのか?
駒:うん。少しだけだけど。オイラがやったことのあるRPGは大抵キャラが適当に歩いている内に敵に遭遇して戦闘になるんだ。
幻:そう、大抵のゲームでは歩いている内にランダムに敵に遭遇してその場で戦闘になるものが多い。
  このゲームはそれに加えて特定の場所に行くと『必ず敵がいる』という場所があるのさ。

凍:? 師範、それならばなぜまっすぐモンスターのいる所へ行かなかった?
  わざわざ敵と出会うまで歩き回るなんて非効率じゃないか?
幻:安全のためさ。出口から一番近い固定モンスターの出現場所は蔵馬たちが行ったほうの道なんだよ。
  次に出口に近い固定モンスターの場所はすこし遠いんでね。
幽:遠いってどのくらい?
幻:そうだね――(道の先の突き当りを指差し)そこを曲がって少し行った所。
幽:すぐそこじゃねーか!(怒)
幻:レベル1の冒険者にとってはけっこうな距離さ。

幽:つーことは、近くに見えても実際は飛んでもねー遠くにあるってことか?
幻:いや、走れば30秒でつく。
幽:コラクソガキ、マジですぐそこじゃねーか!!
幻:それでも遠い。(……ガキ?)
  万が一、戦闘が終わって帰る途中にまた敵に遭遇したらどうする?
  だからなるべく迷宮の出口近くで戦闘をするほうがいいんだ。
  ほらほら、ボサットしてんじゃないよ、さっさと金貨を集めな。

 

 

酎:〜〜〜〜〜〜(しぶしぶモンスターを物色)
幽:あ、金貨みっけ。けっこうもってんな〜こいつら。
酎:幽助、はえーな。
駒:すげー手馴れてるー。
酎:オメー盗賊でもやってたのか?
幽:んなわけねーだろ。あ、こっちにもあった。

凍:本職の俺から見てもかなり手際がいいな。
鈴:やはり追いはぎかなんかやっていたのだろう?
幽:へへへへ褒めてもなんもでねーぞ。
駒:褒めてないって。

幻:しゃべってないでさっさと金貨集めな。終わったらさっさと城に帰るよ。
酎:あ?! もう帰んのかよ?
幽:冗談だろチビガキ、オレまだやれるぜ。
幻:……えーかげんガキって言葉使うんじゃない。次ぎ言ったら迷宮内に放置だよ。
  呪文使い切ってやっと倒したってのに偉そうな口きくな。死にたくなけりゃ言うこと聞きな。
幽:ワリワリ、見た目 ませたクソガキ なもんだから。

酎:けっ、たった三匹敵倒しただけでかえんのかよ。
駒:二人とも贅沢だよ。オイラなんかなーんにもやれなかったんだか………!!!
凍:どうした鈴駒?
駒:なんか こっちに近づいてくる
酎:? なんにも見えねーぞ。
駒:静かに!

 

 

(道の向こうから何かがズルズルと近づいてくる)
(突然、その這いずっていたものが伸び上がり人の顔のような形をつくりニヤっと笑いかける)

幽:げっ、気持ちわりーな
酎:師範、これなんだ?
幻:……………
幽:ばーさん答えろよ。おいガキ…じゃねぇババア!!
駒:ひょっとしてコレかなりヤバイモノなんじゃない?
凍:そうだな、うかつに手を出したりしない方が…

幽:何だかわかんねーけど、とにかく殴るぜ!(謎の物体に飛び掛る)
凍:幽助やめろ!酎!幽助をとめる…
酎:そーだなわかんねーけど殴っとくか!!(幽助に続いて飛び掛る)

凍:……………
駒:師範!幽助や酎止めなくていいの?!
幻:…止めんでいい。
鈴:アレは何なのだ?
幻:『バブリースライム』、迷宮内最弱のモンスターだ。
駒:なーんだ
凍:心配する事無かったか。

駒:ところで師範、戦わないの?
幻:いや、ちょっとコイツみてて思い出したことがあるんでな。
駒:?

 

 

幽:おーい、なんか殴ってたら動かなくなったぞー!
酎:こりゃーいったい何なんだ?
駒:バブリースライムっていうモンスターだって。
酎:モンスター?すげー弱かったぞコイツ。
駒:迷宮内最弱らしいから。
酎:へー。 お!金貨が出てきたぜ。

幽:あれ?ばーさん拾わねーのか?
幻:遠慮しとくよ。そいつに触りたくないんでね。さあ帰るよ。
幽:お、おいまだ全部拾い終わってねーよ!
幻:んなもんほっときな、さっさと帰るよ。
幽:おいまてクソガキ!!