第十六部 〜 MONSTER ALLOCATION CENTER その@ 〜

 

 

 

ザザザザ!ギャアアアアアア!!!

 

 

酎:ナーイス凍矢!これでこっちのグループは片付いたぜ!
桑:おい!こっちにも呪文!そこのチビ助!
死:動くな石仏の失敗作!こいつらに呪文など使わん
桑:ダ レ の こ と だ 〜!!このヌイグルミ!

 

ボシュ!!

 

凍:よし、全滅だな
飛:フン 珍しく綺麗にまとめて消せたじゃないか人形
死:イチイチうるさい奴だ

桑:へっへへ〜ここまでほぼノーミスでこれたなぁこのオレのお陰だなぁおい…Σゴスッ イデエ!
死:だ・れ・の・ディスペルの腕前のお陰だと思ってるんだこの面崩しが。
桑:なにをこのぉ!

蔵:はいはい、ケンカしない
凍:おいていくぞお前たち

 

酎:―――――おっ どうやらついたみたいだぜ       『 MONSTER ALLOCATION CENTER 』だ

 

桑:ようし!ここはパーティーを代表して俺様がドカンと華麗に扉を開け――カン!Σゴケ   なにしやがんだ!
飛:でかい声立てるな、気づかれたらどうする
桑:〜〜〜〜〜!

蔵:中の人間は気づきませんから、それじゃ行きましょう
桑:うっし、せーのっ

 

ドカッ

 

*MONSTER SURPRISED YOU !!* (※)

(※)訳:モンスターの先制攻撃!

 

ハイニンジャは桑原に斬りつけた!
しかしダメージを与えられなかった!
Lv7メイジは LAHALITO(炎の嵐) を唱えた!

桑原 は 20のダメージをうけた!
酎 は 18のダメージをうけた!
死々若丸 は 18のダメージをうけた!
飛影 は ダメージを与えられなかった!
蔵馬 は 10 のダメージをうけた!
凍矢 は 6 のダメージをうけた!

Lv7ファイターは 酎に 突き掛かった!
しかしダメージを与えられなかった!

 

 

酎:ぐぁっ!あぶねえー!
桑:アジジジ・・・お、おい!生きてるか!
凍:後衛はなんとか無事だ!

蔵:酎!桑原君!二人は忍者を!死々若はプリーストにMONTINO(※)をかけて!

(※)沈黙の呪文、唱えると相手を黙らせることが出来る。

 

死:言われるまでもない
桑:やられる前に やってやるぜ!

 

忍者に向かって突進する前衛の桑原と酎
忍者は迎え撃とうと跳躍の構えを見せる
突如忍者の動きが鈍り膝をがっくりと落す
すでに蔵馬が眠りの呪文を唱え終えた所だった

ドゴォ!

 

桑:っしゃ!
酎:こっちゃあ カタァついたぜ!

蔵:よし、これで凍矢がMAKANITO 塵化の呪文)を唱えてくれれば・・・!   凍矢?!

塵化の呪文・・・塵になります。読んで字のごとく。

 

凍:・・・・! ・・・・・・・・・・・・・・!(何かを伝えようとしている)
蔵:死々若!標的をプリーストからメイジに変更してくれ!急いで!

凍矢が沈黙(※)させられた!

沈黙・・・RPGおなじみの状態、先述した呪文によって得られる効果。喋れなくなります、そして当たり前のように呪文も唱えられません。

 

 

死:クソッなんだっ!今頃いいやがって! MONTINO!!

即座に呪文は効力を発揮し、魔道師の周りに沈黙の空気がたちこめ音を奪い去る

 

飛:効いたようだな
蔵:沈黙させたメイジはほっといて プリーストを優先に片付けて!黙らせれば魔道師系のモンスターは手も足も出ない!
桑:っしゃあ!引き受けたあ!

 

桑原と酎は僧侶の下へ駆け寄り、剣をくりだす

ヒュン!ドゴォオオ!

 

酎:仕留めた!

シュッ! ザッ!

繰り出された剣をかわした僧侶が桑原に向かい何事か呟き始める

 

 

僧侶: B A DI(致死)

(※)致死の呪文、冠状動脈に血栓を誘発させ相手を死に至らしめる(本当に説明書にはこういう風に書いてあります)

 

ドォォゥゥゥン!

 

桑:・・・!!?

酎:おい!?
蔵:桑原君!

 

一瞬、周りの景色が反転し、グラリと揺れた

 

桑:・・・(な、こ、これは・・・クソッ!こんなところで・・・!)

 

重い鎖に引きずられるように倒れこむすんでのところで 意識の鎖を引きちぎり強引に踏みとどまる

 

桑:っそぉぉぉおおおお!死んでたまるかああああ!

 

 

ドガッ!

 

ああああああああああああ・・・

 

飛:やったか・・・!
死:後の残りカスどもにはコイツで充分だな LITOKAN(※)

 

炎の柱が地中から湧き出し魔道師に襲い掛かった

 

ギャアアアアアアアアア!!!

 

魔道師たちが崩れ落ち断末魔の悲鳴を上げながら燃え上がった

(※)炎を出現させ、ダメージを与える呪文。
このゲームをプレイする冒険者たちの8割はその呪文の存在に気が付かない(または気が付いても知らない振りをする)というほど存在感のない呪文。

さり気無く、数少ない僧侶が覚える攻撃呪文の一つでもあったりする。

 

 

ヒュッ!!

 

酎:!? うおぉぉっと!

 

油断した酎めがけ剣が振り下ろされた

 

ザザシュ!

 

           こいつら
酎:しまっ・・・ファイター忘れてた!
蔵:酎大丈夫か!
酎:くっ・・・なーにかすり傷だぜ!それより桑原のあんちゃんを心配した方しなあ!

桑:あれしきの事このオレが気にかけると思ってんのか!
酎:へへへ元気の言いあんちゃんだ

蔵馬!援護を頼む!

 

うぉぉぉおおおおおお!!!

 

即座に援護呪文が放たれたが、詠唱が終わっても敵は一向に膝を付く気配すらない

 

蔵:っ・・・呪文が効かなかったか
酎:丁度良い ハンデなしで相手になってもらおうじゃねぇか!

 

敵の戦士から繰り出される剣撃を盾で防ぎながら剣を繰り出す

ヒュッヒュ!!

戦士はそれをすばやい身のこなしで避けてゆく

 

酎:く・・・ちょこまかしやがってこん畜生めぇ!

 

 

ガッ!!!

くシュッ(ベキッ)

 

業を煮やした酎が盾でファーターの顔面を殴りつけ鼻っ柱を思いっきり顔にめり込ませた ファイターは悲鳴を上げるまもなく絶命した

桑:へへへ攻撃は最大の防御といったがぁ守りの道具つかってクリティカル(※)とはな!

(※)このゲームのクリティカルとはダメージのちょっこっとデッカイ攻撃ではなく、一撃必殺(必ず殺すとかいて必殺)のことを指す。前述したが念のため。

酎:お褒めの言葉ありがとうございます、そっちもとっとと片付けてくんな!
桑:うぉぉらあああああああああ!!!

 

キーンキーン!キイン!   ガシッ!! ギリギリ!!!

激しく火花を散らしながらの打ちあいが繰り広げられつばぜり合いの形でにらみ合いとなる

 

桑:(ちくしょう・・・!さっきの妙な呪文をくらっちまってから・・・力が・・・まともにはいらねえ!!)

じわじわと押されながら足間合いに踏み込まる

ガキィィン!!

押されよろめいたところでファイターは力を込め桑原を弾き飛ばし体制を崩させる。兜の下から一瞬中の戦士がにやけた顔をのぞかせ剣を打ち下ろす!

桑:・・・(!?  ・・・っくっそ!!)

 

シュン     ガスッ!

 

戦士:!?

突如黒い小さな影が桑原と戦士の間に滑り込み戦士を半歩後ろにおいやり仰け反らせた
死々若丸が戦士に強烈な一撃を加えたのだ

死:今だ やれ
桑:うりゃあああああ!!!

 

 

ドカッ     があああああああ・・・・  グォッ!! ドォ・・・・

 

 

断末魔の雄たけびと共に戦士は吹っ飛び床に突っ伏した―――戦闘は終了した

 

 

桑:っはぁ〜!助かったぜ ありがとうよ えーっと死々若
死:ケッ 別に貴様なんぞ助ける気はこれっぽっちも無い。死んじまっちゃあ蘇生費用がばかにならんからな
桑:相変わらず口の利き方知らねぇ野郎だな。照れてないで素直に「どういたしまして」ぐれぇいえねぇのかヌイグルミ
死:誰が照れている 誰が!!

蔵:それにしても桑原君、致死呪文を唱えられてよくあそこで踏みとどまりましたね
桑:がっはははは しぶとさにかけてぁオレに敵うやつはいねぇぜ!
飛:流石はゴキブリ並みの生命力だな
桑:褒めてんのかけなしてんのかおめぇは

酎:今回ばかりは結構あぶねぇ橋を渡ったな
死:これというのもどこかの阿呆がでかい声で扉の前で叫ぶからだろう

桑:阿呆とはなんだヌイグルミ!   くそう・・・恐らくこのモンスターどもは俺様のあまりの美声に聞きほれて扉の前に集まっちまようだな!
飛:阿呆の思考回路は常人とは構造が違うな
桑:黙れやコンニャロ!

 

蔵:喧嘩はいいから、飛影、宝箱の解除を
飛:フン

桑:あー そういやーオメー最近宝箱のタイピング早くなったのかぁ?全然入力しているところわかんネェんだけどよ。
飛:タイピング?おかしな板を叩くことならもうしてはいないぞ
桑:へ?じゃどうやって解除してんだオメー
飛:普段盗賊共の流儀のように普通に錠前を外しているだけだ

桑:はぁ〜それでも外すことできたのか〜
凍:呪文も発音さえ正しければちゃんと発動することがそのとき判ったしな

桑:へぇ〜どうりであんだけ速い訳だわ。それにしてもどえらい不器っちょだなオメェ、あんだけ罠に引っかかりまくって
飛:(ジロ)だまれ気が散る ――――ガコン!   終わったぞ

 

蔵:よし、指輪は俺が預かっておくよ、このまま真直ぐ進んで近衛兵にリボンをもらって――――――幽助たちを待ちましょう