第十四部 危険な呪文

 

 

 

幽:ほっ よっと ほい!(ガッ)
陣:幽助そっちいったぞ!
幽:ゲッ

(シャッ ボト・・・)

ボゴッ!敵を倒した!

死:気をつけろノロマ。
幽:ギぐ・・・・いっつ〜〜!いいから早く腕くっつけてくれ!
死:クソ 仕事を増やしやがって

 

凍:なんだか感覚が麻痺したな
陣:だって腕落とされても呪文で ホイ!だもんだな
凍:このまま現実に戻ったときが恐ろしいな
蔵:現実世界も似たようになって来ましたよ、時間はかかるけどね。
  現実と虚実の垣根だけちゃんと残っていればいいんですけど。

幽:心配ねーよ、コレでも注意しているんだぜ。
死:どこがだ。今まで二回も腕を吹っ飛ばされているだろう。
幽:おめーだって三回も首吹っ飛ばされてんじゃねーかよ! チビの割りに避けるのヘタクソなくせによ
死:なんだとこの!

 

飛:フン 懲りない連中だ
陣:凍矢止めねぇだか?
凍:随分昔にあきらめた。

 

蔵:二人の喧嘩がすんだら一度もどりましょう。
陣:えー もう帰るべか?
蔵:今の戦闘で陣と幽助がレベル10になりましたから、すぐに戻って準備をしないとね。
陣:なんの?
蔵:ゲームクリアーに向けての準備ですよ。

 

 

 

 

こちら酒場のカウンター前

 

幻:やはり無茶か
コ:一個人にのみ有益な情報を流すわけにゃいかんのでな
幻:もう先のことがわからん なんて落ちじゃないだろね
コ:う・・・ まあ確かに予想外の事態は山ほどあるがな
  だが一応ある程度の未来は想定できている――はずなんだが

幻:最近は予想外の連続だね、バカ弟子がいい例だよ 全く
コ:ある意味全ての発端は幽助だったかも知れんな

 

駒:ねえ なに話してんの?
コ:はて、何の話をしてたんだっけか?
幻:株の話。
コ:おお そうだったいつの間にか論点ずれとったな。

 

駒:あ・・・・・そ。(これ以上金もうけてどうすんだろ)
  あのさーそれよりあの二人とめてくんない?他の客の邪魔でしょ。
コ:なんだあいつらまだやっとったのか。
幻:ほっときな。どうせ他の客は皆NPCだ。

 

 

酎:最初はグー ジャンケンポン!
桑:ジャンケンポン! あっち向いてホイ!
  ジャンケンポン! あっち向いてホイ!
  ジャンケンポン! あっち向いてホイ!
  おっしゃー!!
酎:くそぉ!!! また負けた・・・

 

駒:諦めろよ。最初は腹抱えて笑ってたけどもう見てるの飽きちゃったよ。
  NPCのギャラリーまで出来てるし・・・
酎:うるへー! 勝つまでやめられるか!勝負!
桑:フフン いい度胸だ 返り討ちにしてやらー!
駒:あああ・・・

 

 

 

幽:帰ったぞー
コ:お、戻ってきたか
駒:おかえりー

凍:鈴木の姿が見えないが何処へ行ったんだ?
駒:ちょっと厨房へ行ってるみたい。
死:また怪しげなものを作っているのか。

幽:ところでおめーら なにやってんだ?
酎:うるせぇ!精神集中しているのだ 話しかけんな。
幽:あっち向いてホイで精神集中かよ

 

 

蔵:皆ちょっと集まってくれないか。
  取り込み中悪いけどそこの二人もこっちに来てくれ。
  (厨房へ入り)鈴木、きてくれ。緊急会議だ。

鈴:何?! 今ちょっと手が・・・
死:な、なんだそれは!
鈴:今日の飯だ。味見するか?遠慮はいらんぞ。
死:今、急に腹が痛くなってきた
鈴:そう言わずに さぁ!

死:まて、おい、なにをす・・・ グムムムム・・・ ギュァ――!!
蔵:いいから早くこっちに来てください。

 

 

ようやく全員集まり 酒場の奥の方のテーブルを囲んで着席
テーブルの真ん中に迷宮内の地図が広げてある

 

蔵:さて、全員のレベルが上がってきたのでゲームクリアーへ向けてそろそろ動き出す時期が来たようだ。
陣:おぉ〜!いよいよだべか!
幽:早く帰りて〜!

蔵:ところで皆に質問だけれども、このゲームの目的はなんだったか覚えているかい?

幽:忘れるわけねーだろ!
陣:ちゃんと覚えてるべ。
桑:おう!ニワトリじゃねぇんだから三歩あるいて忘れちまったなんてことはねーよ!
駒:そこまで見損なっちゃ困るよ
蔵:じゃ一斉に言ってみてくれ せーの

 

幽:レベル上げ
陣:戦闘
飛:モンスターの乱獲
鈴:生体実験
桑:迷宮攻略
駒:宝探し

 

蔵:主旨変わってるじゃないか
  (オマケに鈴木のは「製作者」の方のねらいだろう・・・)
  あ、いや、一応それも間違いではないんだけれども、でも・・・

 

幽:なにぃ!違うのか
桑:ちょっとまてよRPGの定跡から行くと・・・・は!そうか悪の首領から・・・えーっと何を取り戻しに行くんだったっかな〜
蔵:そうそう、悪の首領から何かを取り戻しに・・・
桑:そうだ お姫様を取り戻しに行く!
蔵:(どうしてそうなるんだ。)

駒:そんな話聞いたこと無かったような気がするんだけど
桑:いーや ぜってーそうだ! きっとラストシーンでは雪菜さんが伝説の勇者桑原を出迎えて・・・
  (自分の世界に向かっております)

幽:おーい 桑原かえってこーい

 

凍:確か、最初の蔵馬の説明だと、狂った王がいて・・・
幽:あーーー!!そうだよそれそれ! 狂った王様!
駒:思い出した思い出した んで狂った王様が... どうしたんだっけ?
陣:ア――― ひょっとしたらその狂った王様をぶっ飛ばしにいくんだったっけか?
幽:おー!そうそう きっとそう!
駒:そうか!悪の首領の狂った王様を倒しに行くんだよ!それだ!

 

 

幻:お前たち、蔵馬の話聞いてたのか! 「悪の大魔導師を倒して魔よけを持ち帰ること」が目的だろうが!

幽:へ・・・・・・?

 

 

二、三秒空白

 

幽:あ、 あ〜〜あ〜〜あ〜〜!
駒:そうだったっけ!
陣:それじゃ「狂った王様」ってのはなんだべ?

幻:お前たちはニワトリか
蔵:(どうして説明一つするのにこんなに疲れるんだ)

 

 

 

10秒で分かるゲームのストーリー解説

ある日狂った王様が、大事にしていた「魔よけ」を悪の大魔導師に盗まれてしまいました。
狂った王様は国中に「魔よけを取り戻せ」と命じました。
こうして冒険者たちの長い長い戦いは始まったのです。

 

 

蔵:これ以上はどんなに質問されてもこうとしか答えられません。
幽:ハーイよく分かりました。
駒:最初からこういう風に説明してくれればいいのに〜
蔵:(だから一番最初に説明したじゃないか)

 

コ:ということはいよいよラスボスに戦いを挑むのか
蔵:今はまだそこまではできません。
  ゲームの中間地点のイベントを行うだけです。オレはまだ早いと思ったんですが
幻:戦士四人がレベル10以上ならなんとかいけるだろ。あたしだって早く帰りたい。

 

駒:なーんだ中ボスと戦うだけなのか
桑:改まって言うほどのことでもねーだろ
幻:ラスボス戦を除けば最初で最後のイベントだからね。コレまでの敵と明らかにレベルが違うよ。

陣:ほー そりゃ面白いだ。
駒:だけど所詮中ボスだろ?
蔵:ええ、でもどんなに敵が強くても1ターンで殺るか 殺られるか
  それがこのゲームの暗黙のルールだってことを忘れないでください。

幽:わかってるぜ。
酎:言われるまでもねえ。
飛:話は決まった、さっさと行くぞ。
蔵:そのまえに、もう一度パーティーを組みなおします。

 

コ:またか?
蔵:ヒットポイントや特性値にバラつきがありますから編成しなおします
  死なずに帰りたいでしょう
幽:そりゃそうだ。

 

 

パーティ編成中

 

 

 

蔵:戦士の人たちはこんなものでいいとして
幻:盗賊はどうやったって別に戦闘に支障が無いからいいだろ
駒:なんか微妙に阻害されている気がする
蔵:でも 盗賊がはいなくちゃ困りますから

桑:でもよー コイツ(飛影)宝箱の罠はずすのスゲー下手だぞ
死:その罠のおかげで何回全滅しかけたことか
飛:貴様ら・・・

蔵:まあまあ、その分飛影は盗賊にしては攻撃力がありますから
  後々、ひょっとしたら戦闘の役に立ってくれるかもしれませんよ
駒:後々? 盗賊でも戦えるの?
幻:運がよければな

 

蔵:さてと、スペルユーザーの方は、と。
鈴:そういえばオレと蔵間の職業も大して戦闘に役に立たんな
蔵:ビショップは成長遅いですし、役に立つ頃にはクリア後っていうのが当たり前ですから。
鈴:それでは何のためにこの職業が存在するのだ
幻:※@鑑定出来るのはビショップだけだ。
  それに※A戦闘では他のスペルユーザーの補助みたいな役割も出来るしな。

 

※@鑑定…… 宝箱の中には時々アイテムが入っている。
         だが宝箱から手に入れたアイテムは 「?ぶき」
         のように不確定名の状態になっており、この状態では
         アイテムを店に売却したりは出来ない。
         そのアイテムを 「鑑定」 し、正式なアイテム名を知る
         という能力を持っているのがビショップの特徴。
         
※A戦闘では…半分本当で半分嘘。
         高レベルのビショップは素晴らしい働きをしてくれるが
         おそらくこのレベルだとたいした補助は望めない。が、
         それでも、いないよりはましである。

 

蔵:コエンマ、凍矢 二人の呪文書を見せてくれ
コ:おお
凍:よし

 

蔵:凍矢の呪文の覚え方はかなりアタリですね。
幻:コエンマはハズレ呪文先に覚えくれてるようだ
幽:流石だなコエンマ
コ:ほっとけ

 

蔵:あとは僧侶の死々若丸と師範だけど
幻:蔵馬とあたしがパーティーかぶっちゃマズイだろ
蔵:師範、先に入るパーティ決めてもらってくれますか

幻:そうさせてもらうよ。
蔵:死々若、呪文書を見せてくれ。
死:ほらよ

蔵:(呪文書をめくりながら)・・・これなら大丈夫かな。もうレベル6の呪文が使えるのか。
死:先ほどレベルが上がったからな。ついさっき覚えたばっかりだ。
幻:ほう、どんな呪文だい?
蔵:ロクトフェイト(帰還呪文)・・・ですか。
幻:最高に使用頻度低い呪文覚えてくれたね色男さんよ。
死:・・・チビより腹が立つぞその呼び方!

 

陣:で この呪文唱えるとどうなるだ?
蔵:分かりやすく言えばこの呪文を唱えるといつでも城にテレポートしてくれます。
駒:すげーじゃん!

蔵:ただし、パーティ全員の装備している品、所持しているアイテム
  それから全員の所持金の半分以上を その場に残して テレポートするんです。

酎:装備してるもの全部!?
幽:それはつまりどういうことなんだ?!

 

幻:だから、所持金の半分以上を失った状態で、
  パーティ全員が例のあの状態(全裸)で町のど真ん中に放り出されるんだよ。

 

鈴:れ、例の状態・・・
駒:町のど真ん中・・・
酎:パーティ全員・・・

幽:んだとーーーー!!!

 

鈴:いいか死々若、絶対にその呪文を唱えるんじゃないぞ!
酎:忘れろ!覚えたことを消去するんだ!
桑:死にそうになってもぜってー唱えんなよ!!
幽:つーか 死んでも唱えんじゃねーぞ!!!

 

 

死:誰 が 使 う か !!!