第1夜 守りたいもの・願ってるもの。
Act.2 暗示 (後編)
(何やってんだか)
溜め息が、こぼれる。
確かオレは。 けれど。 奴等から、あのちびを庇って、この様(ザマ)だ。
『また逢おうな』 約束じみた、唯の言葉。 ならば、判る時がくるんだろうか? 一度だけしか、あったことはないのに。 (あぁ。今回で、二度目か…) 回数に入るかは、かなり微妙だが。 ちびの名前。 『興味、持ったのか?』 名前を唯に訊いたら、逆にそんな事を訊かれた。 『自分であった時、訊けばいいじゃないか』 意外と唯は、冷たい。
(結局、訊けなかったな…) 知らないままだ。
『暗示』
使うつもりはなかったし、使うとは思わなかった。
きっと、ちびはショックだっただろう。自分を庇って、オレが死ぬなんて。 そうは、なるな。 ただ、お前には。泣いてほしくないんだ。 いつものように、くだらない話しかなんかで、笑えばいい。
お前から、無くそう。 ( だから、泣くな ) 自分を、責めなくていい。
お前の記憶から、オレという存在そのものを、消す。
Act.2 暗示/完
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