「お、お前ら…まさか、旅の当初の目的を忘れたのか!?」
「忘れた」
「何でしたっけ?」
「あ、あのなー!!」
「そういえば、コエンマたちは何処へ向かっていたんですか? 傍目には迷っているようにしか見えなかったけど」
グサ
一人の戻ったため、きゅうこんの蔵馬しか知らないことも知っている、今の蔵馬。
考えて見れば、当たり前の問いかけだが、図星だった分、コエンマに深く深く突き刺さったことは言うまでもない。
「ぽ、ぽけもんリーグへ参加しに行く途中だったんだ」
「……随分と変わった道を通りますね。ほとんど逆方向じゃ…」
「ほっとけ!」
「迷ってたんですね、つまり」
ため息まじりに言う蔵馬。
それでも、道案内は出来ると、先導きって歩き出した。
「リーグ参加はぽけもん6匹までだっけ?」
「あ〜、どうだったっけな〜」
追いついてきた幽助に問いかけるが、彼は覚えていなかったらしく、コエンマを振り向く。
コエンマが頷いたのを見て、
「だとよ。けどまあ、5匹もいれば十分だろ? このまま行こうぜ」
「おう!」
「? 5匹って俺たちも?」
桑原はあっさり同意したが、蔵馬はやや首をかしげた。
当然だろう、この場にいるぽけもんの中で、コエンマが最初から連れていたのは、幽助とぼたんだけなのだから。
「当たり前だろ。あ、それとも無理なのか?」
「いや、別にかまわないよ。いちおうあそこに陣取ってたろけっと団は片付けたから、当分はそっとしておいていいはずだ。元々、『俺たち』が死ぬ可能性を考慮しての作戦だったから、時期長は決定しておいたしね。同行させてもらうよ」
「よっしゃー!!」
蔵馬の同意を受け、ますます盛り上がる幽助たち。
そんな彼らを呆れ顔で見ながら、約一名進路を変えようとした。
その足にくるりと金色の尾が巻きつく。
「飛影。何処行くんだ?」
「俺には関係ない」
解こうとするが、思いのほか強く巻きつかれており、全く解けない。
骨で叩こうとしたが、後が怖そうなので、やめた。
「まあまあ、そう言わないで」
「こ、こら貴様! 離せ!!」
そうこうしているうちに、ずるずると蔵馬の真後ろまで引きずられていく。
「どうせ暇でしょ? それに特訓のためにも、あの塔にいたんでしょ? リーグの方が強いぽけもん、多いですよ」
「……」
「ね?」
「……」
……この後待ち受けている、追われる人生を知っていれば、この時着いて行くという道を選びはしなかっただろう。
しかし、結局最終的に選んだのは彼なのだから、誰も責められはしないだろうが。
とにもかくにも、こうして5匹のぽけもんと一人のトレーナーが揃った。
目指すはいざ! ぽけもんリーグへ!!
……もちろんこの後、前記したような地獄が待っていることは言うまでもない。
「ほらほら。管理人のプレイしたゲームでは、おにどりるになってるよ?」
「え」
横から覗き込んだぼたんが指し示し、桑原がびしっと固まる。
ついでにヒビも入っていた。
「ああ。それだけどね。本当は、ドラゴンタイプとの対戦で進化させる予定だったんだって。けど、あそこを大幅に削ったから」
「削ったっつーより、全くなかったじゃねえか」
「そうなんだけどね…」
苦笑する蔵馬。
やや言いにくそうだが、大体見当はつく。
呆れながら幽助が代弁した。
「進化するタイミング逃したってことか?」
「そういうこと」
「んだよ、いい加減だな」
「今更でしょ」
「フン、くだらん」
「くだらくねえ!! 何で俺ばっか、いつもいつも、こうなんだよー!!!!」