<Which Do You Like?> 2
「じゃあ負け」 「……へ??」 いきなり突きつけられた、敗北の言葉。 が、次の瞬間!
「な、何でだよ!!理由がわりーってのか!?べ、別に螢子のことがなくても、青は元々好きなんだぞ!!空とか海とか、結構好きだし!螢子のことは関係ねえー!」 ものすごい形相で叫ぶが、蔵馬は全く動じていない。 先ほどよりも更に嬉しそうな顔で黙ったままの蔵馬に、幽助は間髪入れずに怒鳴った。
「だっ、第一、どういう理由で好きかなんて、おめえ聞かなかったじゃねえか!!他の時も、言ってねえし!何でいきなり螢子の話題が出てきた途端に、『負け』なんだよ!第一、おめえゲームのルール一個も言わなかったじゃねえか!最初に『何でって言うな』って言っただけで……あ゛っ」
…… …………
「言ったね♪」 硬直している幽助の手を、ゆっくりと外しながら言う蔵馬。
そう……幽助は、確かに言った。 『何で』と……。 蔵馬が負けを通達した直後、確かに言った。
あまりのことに、呆然とする幽助。 「お、おいちょっと待てよ!!」 ぎゃんぎゃん噛みつく勢いで叫ぶ幽助に、蔵馬はくすっと笑って、 「そういうゲームなんだよ。どういうことを聞かれても言われても『何で』と言ってはいけない。このゲームのルールはそれだけ。『負け』と言われたら終わりだなんて、一言も言ってないよ♪」 もはや何を言っても無駄……しかし、これほど悔しいことがあるだろうか!?
空は晴れたが、幽助の頭上には暗雲がたれこめ、かなり機嫌が悪そうだった。 「幽助、9回か……ちょっと慎重にやりすぎたかな。桑原くんは7回だったし」 蔵馬の発した言葉に、きょとんっとする幽助。 「だから、『何でって言ってはいけないよ』と言った直後に『何でだ』って」
「はっくしゅん!」 魔界の移動要塞百足の屋上。 しかし、飛影としては、数日前に蔵馬にからかわれて以来、ずっと機嫌が悪く、くしゃみ1つくらいどうでもよかった。
「……躯。今、ヒマか?」 飛影が言葉の戦いを持ちかけてくるのは珍しい。
「何故と言うなよ…」
その数日後。 魔界中で、『何でと言ってはいけないゲーム』が流行ったのだった……。
終
〜作者の戯れ言〜 意外とひっかかりますよ、このゲーム。 もちろんこれは色でなくても、動物や芸能人など、別のお題でも出来ます。
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