<お正月>
正月・幽助宅…。
「…3人そろって風邪ですか…?」
「ごほごほ…」
「げほげほ…」
「…くしゅん!」
呆れた蔵馬の側には,幽助・桑原・飛影がソファーでたれている。
…3人とも風邪をひいたのだ。
「…熱はかりましょうか…」
蔵馬は体温計を3つ取り出し,3人に渡す。
3人は大人しく熱をはかりだす。
「…正月早々風邪なんて…。まったく…昨日の≪アレ≫ですか? 原因は…?」
「言うな…」
ソファーに顔をうずめて言う幽助。
…昨日…宴会をしたのだ。
もちろん徹夜で。
で,何があったかと言うと…
「自殺行為ですよね? 酔っていたとはいえ…冬に外で冷水かぶるなんて」
と,言うことがあったのだ。
いくら幽助の家が都会の方で,そこまで気温が下がらない地方だとはいえ…自殺行為に違いはない。
冷水なのだから…。
「なんだよ…ごほっ…蔵馬がやらせたんじゃね―か…ごほっ」
「たしかに,罰ゲームですけどねぇ…。冗談で言ったのに…本当にやるとはね…。酔うってすごいことですね〜」
蔵馬は明るい顔をして,風邪を引いている幽助達の顔をのぞきこむ。
あきらかにからかっている。
流石にちょっとムカついたらしい,幽助と桑原は不機嫌そうに,
「おい…」
「真面目にやったオレらはマヌケか?」
「…………………」
なんて元気なく突っ込む。
まぁ,どんなゲームをしていたのかはほっといて…。
3人は気分がかなり悪そうだ。
ソファーに顔をくっつけてたれている。
昨日は徹夜で酒飲んだ上に外に出て冷水…。
風邪を引いた上に二日酔している。
妖怪でもキツイらしい。
≪ピピッ≫
体温計が鳴る。
3人はゆっくりと取り出してみる。
「何℃ですか?」
「38℃」
「上に同じく」
「……同じだ」
「みんな38℃? 熱ちょっとたかいですね…。ま,寝ててください」
蔵馬が3人に寝ているように指示をする。
しかし3人は
「寝るったって…」
「さっき起きたばっかだしよ…」
「……………………」
2人は寝れないといい,もう1人は沈黙…。
と思いきや飛影はさっさと布団へ向かう。
何かを感じているようだ。
「ん? 飛影は寝るのか?」
「へぇ〜…」
幽助と桑原は,ゆっくり顔を上げて飛影の様子を眺める…。
飛影はすっかり布団をかぶっている。
「…とにかく,熱があるときは熱いるといいんですよ! 寝てください。その間に…オレが掃除しておきますから…」
そう,幽助の家(部屋)はゴミだらけ…(もちろん昨日のパーティーのせい)。
かろうじて3枚布団を敷く余裕があるだけ…。
蔵馬は,4人で掃除するより,自分1人で掃除するほうが楽だと言う…。
幽助達を馬鹿にしているようなものなのだが…とうの本人達は気付いていない。
「でもよぉ〜…ごほっ」
「寝れねーよ…ごほっ」
「じゃぁ…」
≪ばきっ≫
この音の直後,幽助と桑原は深い眠りにつく…。
蔵馬の手には金属バット…。
何をしたかは誰でも分かる…。
飛影はこれを恐れたのである…。
「さて,掃除始めようかな…」
いそいそと掃除を始める蔵馬の横で,倒れている幽助,桑原…。
翌日,3人とも風邪は治っていた。
そして,こう誓った。
【もう二度と蔵馬と宴会しない…】
と…。

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