<お料理しましょv> 7 (璃尾)

 

「ぜいぜい…」
「はあはあ……」
「ひいひい……」
「おい、こら。とっとと続きを言わんか」

「そ、そんなこと言われたって……」
「昨日からずっと叫びっぱなしなんだぞ……」
「喉が枯れたよ……」

蔵馬と秀一、それに飛影(と)は、かな〜りお疲れの様子……。
しかし自分で叫んでいない飛影(ひ)は元気なもので……。

「フン。だらしない連中だ。この程度で根をあげるとは…」

……この発言で、約一名がキレることは大体予想が付くだろう……。

「だったら、自分で叫べ自分で!!」

案の定、飛影(ひ)の胸ぐらを掴んで怒鳴る飛影(と)。
しかし、これだけの元気があれば、すぐに終わりそうでもあるが……。

怒りによる怒鳴り声は、通常の叫びとは違う声帯を使っているのかも知れない……。
『別腹』という言葉があるが、この場合は『別喉』とでもいうのだろうか……。

 

ところで、昨日からずっと三人が叫んでくれているのに、何故シマネキ草が消滅してくれないのかと言うと……。

「貴様ーー!!」
「やるかーーー!!」

「ちょ、ちょっと2人ともーー!!」

 

数十回言う事に、飛影(ひ)と飛影(と)が喧嘩してしまい、その事に……。

「このやろ!!ぶっ殺してやる!!」
「何だと、そっちこそ冥土へ送ってやる!!」

と、ここまではいいのだが(←いいのか?)、問題は次なのである。

 

「やめなよーーー!!喧嘩なんてーー!!」
「そうだよ!!2人とも強いんだから、死んじゃうよーー!!

 

ぽっ

……シマネキ草レベルアップのテーマ…。
もう珍しくも久しくもなく、さっきから度々聞いている……。

「蔵馬……」
「え、いや今のは秀一だけど……」
「え〜、蔵馬に釣られたんだよ〜」

「お前らな〜」

怒りながらも、相手が蔵馬や秀一では殴りかかることも出来ない飛影(後が怖い…)
しかも、回を重ねるごとに、もう呆れ果てて怒る気も失せているのかも知れない。

 

 

「で、本当にどうするんだ?このままだと一生終わらんぞ」
「エンドレスってやつだね」
「やな、エンドレスだな……」

「あのさ〜」

ふと何か思いついたらしく、秀一が言った。

「何だ?」
「この際、蔵馬と飛影(ひ)、自分の家でやってみたら?そこでなら喧嘩もしないですみそうだし……」
「あ゛……」

し〜ん……

 

「確かに……そうだな」
「こいつといると、無性に血が騒ぐ。喧嘩の元だ」
「それはこっちの台詞だ!!(怒)」

懲りずに喧嘩体制に入ろうとする飛影たちを押さえて、蔵馬は立ち上がった、

「はいはい。じゃ、飛影(ひ)。帰ろうか」
「フン…」

蔵馬に腕を掴まれ、ずるずると引きずられていく飛影(ひ)。
かな〜り頭がグラグラしているが……(屋根から抜けていたのが、せめてもの救いか…)

「また遊びに来てね。蔵馬、飛影(ひ)」
「うん。必ず来るよ。ね、飛影(ひ)!」
「そいつ(←飛影(と)のこと)が、いなければな!」
「貴様こそ二度と姿を見せるな!」

「あ〜もう!また喧嘩しないでよ〜!!」
「そうだよ、次こそ本当に…うぐ!」

慌てて蔵馬の口を押さえる飛影(ひ)。
これ以上言われては、本当に霊界の世話になりかねない……。

「じゃ、じゃあな!秀一!!」
「またね〜!!」
「蔵馬、来るなら1人で来いよ!」
「え〜、飛影(ひ)と、来るよ〜!」

わんやわんや言いながら、蔵馬と飛影(ひ)は、とある老夫婦の家を後にした……。

 

そして、彼らとシマネキ草の、長い長い戦いは終わった……。。

かに見えたのだが……。

 

「よお、蔵馬。遅かったじゃねえか」

ズデンッ

蔵馬たちが家に入るなり、居間に堂々と居座っていたのは……。

「ゆ、幽助…桑原くんも……」
「勝手に上がらせてもらってるぜ……って、ぎゃははははは!!」

腹をかかえて笑い、部屋中を転げ回る幽助と桑原。
もちろん、笑っている対象は飛影の頭についているものである……。

「ひ、ひ、ひ、飛影!!なんだよ、それーー!!」
「シマネキ草のデカイバージョンか!!?おもしれーー!!」

思う存分笑い飛ばす、2人。
それを飛影が怒らないはずがない……。

「き〜さ〜ま〜ら!!(怒)」

怒りに怒り、いきなり黒龍波を打とうと構える飛影。

 

「だ、ダメだよ飛影!!忘れたかも知れないけど、シマネキ草は火気を好むんだから!!(三話参照)

炎なんか出したら、それこそ死んじゃうよーーー!!

 

ぽっ……

 

 

終わり?