<仲間> 3

 

 

 

・・・・・・・気がついた時には、見慣れた自分の部屋で。

 

 

時刻は午前7時を15分程過ぎたところ。

 

自分のいる場所は、ベッドの上・・・・・

 

 

 

夢・・・だったのだろうか?

 

 

夢みたいなものだ、と黒鵺は言っていた。

 

けれど、本当にただの夢の可能性も充分ある。

 

 

 

・・・・・・・また、偽りの再会だったのだろうか・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

「っ・・・?」

 

 

ふと、右手の甲辺りにちくっとした痛みを感じて見てみると。

 

 

 

「・・・・・・夢じゃ、なかったんだな」

 

 

 

そこには、蔵馬の瞳のように、綺麗な緑色をした竹の葉が一枚あった・・・―――――

 

 

 

 

 

―――いるだろ?お前には。俺じゃない、大切な仲間が。守るべきものが―――

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

―――・・・忘れんなよ。俺はいつだってお前が見えてんだからな―――

 

 

 

「黒鵺・・・・・・・・・」

 

 

 

・・・・・・・・忘れないさ。

 

 

お前が俺を見てること。お前とまた話せたこと。

 

 

 

・・・・・・・・・・忘れるわけがない。

 

 

 

―――――・・・・・・・・大切にしろよ。お前は一人じゃねぇ―――――

 

 

 

「一人じゃない、か・・・・・・・・」

 

 

 

蔵馬は竹の葉を軽く握った。

 

 

 

 

と、静かに携帯が音をたてる。

 

 

幽助からだ。

 

珍しいな、こんな時間に起きてるなんて。

 

 

 

”おっす!今日ばーさんちでやる花火だけどよー飛影に伝えれてねーんだ。わりぃけど連れてきてくれねぇ?頼む!!”

 

 

あぁ、なるほど。

 

そういえば、今日はそんなイベントがあったな。道理で幽助が起きてるわけだ(笑)

 

 

 

”了解。連れて行くよ。”

 

 

”サンキュー!!んじゃよろしくな!!”

 

 

 

飛影に伝えそびれたんじゃなくて、最初から俺に頼むつもりだったんだろうな。

 

・・・まぁ、相手が飛影じゃしょうがないか。

 

 

 

蔵馬はくすっと笑って携帯を置いた。

 

 

 

 

窓を開けて、空を見上げる

 

 

 

 

仲間・・・・・・・か。

 

 

 

 

綺麗な空。

 

あいつには、ちゃんと見えているだろうか?

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・大切にするさ。

 

 

 

・・・・・・・でも、お前こそ忘れるなよ?

 

 

―――――俺だって、お前ともっと盗賊やりたかったってこと。

 

 

 

「・・・・・逢えない相手でも、仲間だってこと」

 

 

 

 

 

蔵馬は竹の葉に妖気を通して茎を出し、10p程に大きくした。

 

そしてそれを、水の入った透明な花瓶に差して、窓辺に置いた。

 

 

 

「・・・・・・・・・ありがとう、黒鵺」

 

 

 

――――――――また逢えるよな

 

 

 

しばらく竹を眺める蔵馬。

 

 

 

”逢えるさ”って

 

 

聞こえた気がした。

 

 

 

 

そして蔵馬は支度を整え、

 

 

 

大切な仲間を呼びに出掛けた――――――――――――

 

 

 

fin...