・・・・・・・気がついた時には、見慣れた自分の部屋で。
時刻は午前7時を15分程過ぎたところ。
自分のいる場所は、ベッドの上・・・・・
夢・・・だったのだろうか?
夢みたいなものだ、と黒鵺は言っていた。
けれど、本当にただの夢の可能性も充分ある。
・・・・・・・また、偽りの再会だったのだろうか・・・・・?
「っ・・・?」
ふと、右手の甲辺りにちくっとした痛みを感じて見てみると。
「・・・・・・夢じゃ、なかったんだな」
そこには、蔵馬の瞳のように、綺麗な緑色をした竹の葉が一枚あった・・・―――――
―――いるだろ?お前には。俺じゃない、大切な仲間が。守るべきものが―――
「・・・・・・・・・」
―――・・・忘れんなよ。俺はいつだってお前が見えてんだからな―――
「黒鵺・・・・・・・・・」
・・・・・・・・忘れないさ。
お前が俺を見てること。お前とまた話せたこと。
・・・・・・・・・・忘れるわけがない。
―――――・・・・・・・・大切にしろよ。お前は一人じゃねぇ―――――
「一人じゃない、か・・・・・・・・」
蔵馬は竹の葉を軽く握った。
と、静かに携帯が音をたてる。
幽助からだ。
珍しいな、こんな時間に起きてるなんて。
”おっす!今日ばーさんちでやる花火だけどよー飛影に伝えれてねーんだ。わりぃけど連れてきてくれねぇ?頼む!!”
あぁ、なるほど。
そういえば、今日はそんなイベントがあったな。道理で幽助が起きてるわけだ(笑)
”了解。連れて行くよ。”
”サンキュー!!んじゃよろしくな!!”
飛影に伝えそびれたんじゃなくて、最初から俺に頼むつもりだったんだろうな。
・・・まぁ、相手が飛影じゃしょうがないか。
蔵馬はくすっと笑って携帯を置いた。
窓を開けて、空を見上げる
仲間・・・・・・・か。
綺麗な空。
あいつには、ちゃんと見えているだろうか?
・・・・・・・・・・・・大切にするさ。
・・・・・・・でも、お前こそ忘れるなよ?
―――――俺だって、お前ともっと盗賊やりたかったってこと。
「・・・・・逢えない相手でも、仲間だってこと」
蔵馬は竹の葉に妖気を通して茎を出し、10p程に大きくした。
そしてそれを、水の入った透明な花瓶に差して、窓辺に置いた。
「・・・・・・・・・ありがとう、黒鵺」
――――――――また逢えるよな
しばらく竹を眺める蔵馬。
”逢えるさ”って
聞こえた気がした。
そして蔵馬は支度を整え、
大切な仲間を呼びに出掛けた――――――――――――
fin...