名作童話小劇場 金の斧

 

 

蔵馬(ナレーション):昔々ある国に、一人の不精なキコリが住んでいました。

幽助(キコリ):ふぁ〜〜ぁ〜 そろそろ金もなくなってきたし山でも一個けずってくっか〜
蔵馬:キコリはそういうといつもの様に素早くダラダラと山へ向かいました。

 

幽助:ここら辺でいいかな んじゃ はじめっぞ
   せーの うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ

 

スッパン!スパン!スッパン!スパン!

 

幽助:オラオラオラオラオラオラぁぁぁぁあ!

蔵馬:キコリはいつもの調子で一撃で木をなぎ倒し
    見る見るうちに木々の生い茂る山を 荒れ果てた禿山にしていくのでした。
    が、そのとき

 

 

スッポーーーーーーン!

 

 

幽助:うわぁぁぁーーーーー!!

蔵馬:大きく振り降ろした斧が勢い余って手からスポ抜けて遥か彼方へ飛んでいってしまいました。

 

幽助:冗談じゃね!!まだ新品なんだぞ!!こらまてぇぇぇぇ!!
蔵馬:キコリは、答えるはずのない斧に向かって大声で叫び、猛スピードで斧を追いかけました。

 

 

幽助:よぉぉし!もうちょいで追いつく!!
蔵馬:キコリがそう思ったちょうどそのとき

幽助:どぁぁぁぁぁぁあああっと!!

 

ぼっちゃぁぁぁん

 

蔵馬:キコリの目の前に突然、泉が現れ斧は吸い込まれるようにして泉の中に落ちてしまいました。
幽助:こらぁ!!なんでこんなところに泉があるんだぁぁああ!!

 

蔵馬:キコリが泉に当り散らしていると、

 

ごぼごぼごぼごぼ

 

幽助:な、なんだ ナマズでもいんのか?

 

ザザーーーー

 

 

 

蔵馬:なんと泉の中から見たこともないような女神が現れ――
幽助:(小声)おい!ナレーター!こいつの ど・こ・が 女神なんだよ!どこが!
蔵馬:『見たこともないような』っていいましたよ。

幽助:そりゃ見たことねーよんなオゾマシイもの!!
蔵馬:いいから台本どおりにやってください。
幽助:〜〜〜〜〜!!!

蔵馬:泉から現れた女神は手に光り輝く金の斧を持っていました。

 

 

桑原:あなたが落としたものは、この金の斧ですか?
幽助:いいえ、ちがいます(台詞棒読み)
桑原:それではこちらの銀の斧ですか?
幽助:いいえ、私が落としたのは、ただの鉄の斧です(台詞棒読み)

桑原:そうですか それじゃ

(突然女神はくるりと後ろへ振り返り)

 

桑原:これはお前の仕業か
幽助:あ……

(見ると女神のがっしりした背中に深々と鉄の斧が突き刺さっている)

 

 

 

幽助:さーてそろそろ飯食いに家へかえろーっか

 

桑原:まてい

 

 

 

蔵馬:こうしてキコリは泉の女神に一日中追い回されました。めでたしめでたし。

 

幽助:めでたくねぇーーー!!!!