「・・・・・・いない(怒)」
翼は怒っていた。
というのも、香蝋が未だに見つからないからである。
「翼、怒らないでください。こっちだって怒りたくなりますよ・・・。」
「いいや、怒りは出した方がいいと思う。要はあいつに容赦なしで攻撃すればいいんだから。」
翼は、蔵馬の前を数歩歩いて振り向いた。
「・・・ゴメン。」
「え?何がです?俺、何か悪い事しました?」
「そういう事じゃなくて。私、嘘ついてた。」
「嘘って何の嘘ですか?」
「名前。偽名を使ってるんだ。」
「偽名・・・ですか?」
「うん。鬼神翼ってのは、偽名なんだ。本当の名前は姫宮満月っていうの。」
「姫宮・・・?旧家の1つですよね?」
「うん。私の家では従兄弟同士で結婚する掟があってそのせいか、生まれてくる子供達は全員、男女の双子になる。」
「双子ですか?」
「そして、生まれた双子はまた従兄弟の両親から生まれた双子と結婚してまた子供を生む。それが姫宮家では普通のことだった。けれど、私の場合は異例だったの。」
「異例?」
「たまに、同性同士の双子が生まれるの。いわゆる突然変異というやつで。同性って言っても問題はないから、普通に育てられるけど私は違った。」
「違ったって?」
「この髪と瞳のせいで追い出されたんだ。」
満月はそう言った。
「髪と瞳ですか?」
「実家で生まれてくる子供達って大体が黒から青、寒色系統の髪と瞳をして生まれるけど、私みたいに暖色系統の髪は実家では、異端とされているの。だから、私は幻海師範に預けられた、というわけ。」
「げ、幻海師範・・ですか?」
蔵馬は青ざめた。
「知ってるの?」
「知ってるも何も幽助の師匠ですよ?」
「さ、さすがにそこまではわからなかった・・・・。」
満月が言ったときだった。
ガシャン!
突然、窓ガラスが割れた音がした。
「危ない!!」
蔵馬は満月を抱えて、ガラスの破片を防いだ。
「さすが、妖狐蔵馬と姫宮満月だな。俺様の攻撃をかわすとは。」
「っていうか・・・・。」
蔵馬に抱えられたまま、満月が言った。
「・・・・それの何処が攻撃よ?ただ、ガラスを割っただけじゃない。それにそんなちょろい攻撃、誰だって交わせるし。」
「・・・・本当にしょうもない攻撃ですね。しかも、俺様主義ですか?」
「「自己中心的妖怪!」」
蔵馬と満月が同時に言った。
「う、うるさい!とにかく、お前等を殺してやる!」
「そうは、させるか!」
満月が言うと突然、衝撃波が発生した。
「な、念動力(サイコキネシス)!?」
「満月って魔法使いじゃなかったんですか?」
「前にそう言ってたけど、どうせ超能力持ってるの信じられないだろうと思って魔術って嘘ついてたの。超能力は魔術が高度に進化したから別に呪文唱えなくてもいいけどね・・・・。」
「それを先に言ってくださいよ。」
そういいながらも蔵馬は薔薇棘鞭刃を構えている。
「「覚悟はいいな?」」
・・・不運にも香蝋は2人を怒らせてしまったようだ。
「そ、そこまで怒らなくても・・・・。」
「問答無用です!」
「そういう言い訳はけしからん!天誅〜〜!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
2人による爆発的な(こういうのを言うか?)攻撃により、香蝋は跡形も無く消え去った・・・・・。
その頃、霊界。
「それにしても、名前と能力を偽造していたとは・・・。」
「コエンマ様でも見抜けなかったんですね〜。偽造。」
ぼたんがフォローになってないようなフォローでコエンマに言った。
「まぁ、霊界探偵として最初の任命を果たしたもんだから、いいだろう。」
盟王高校の生徒と教師が目を覚ました頃にはもう夕方になっていた。
「私等、眠ってたのかな?」
「それにしてもいい夢だったのに・・・。」
どうやら、眠りの妖精はいい夢をみさせる力を持っていたようだ。
そして蔵馬と満月は帰宅路を歩いていた。
「学校では鬼神翼って通すんですか?」
「あまり騒がれるのは好きじゃないからね。目立たないほうが蔵馬だっていいじゃない。」
「そうですね。」
といいながらも、蔵馬のこめかみには怒りマークがあった。
「・・・・・なんか、悪い事でもした?」
「もう2度、俺に嘘をつかないでくださいね?」
顔は笑っているが声からしてかなり怒っている。
嘘をつかれたことに怒っているようだ。
「さて、どうしましょうか?このまま、俺の家に連れて行きましょうか?」
「え、いや、それはその・・・・・。」
「母さんにも紹介したいですしね(^。^)」
「・・・え(-_-メ)」
その後、満月は蔵馬の家に連行され、どうなったのかは、皆さんのご想像で(^。^)
続く
後書き
はい、満月ちゃん
能力と名前を偽造してました(^。^)
蔵馬君に連れられましちゃいましたね(^.^)
さて、次のお話はなんでしょう?
お楽しみください!