<being reason>
オレは,窓辺に立って街の様子を眺めていた。
…騒がしい…。
そうだ…クリスマス……。
オレは,窓の外を眺めながら座る。
窓の外が見える位置で…。
「クリスマス…か…」
街はクリスマスカラー一色になり,街の人や,街自体もにぎわう。
幽助や桑原君もそんなにぎわう組みだ。
飛影は…どうだろう?
やはり,浮かれるタイプではないだろうからな…普通にしているだろう。
オレは…クリスマスだからといって…どう,とはいかない…。
ただ家族と少し祝う程度だ…。
…クリスマスで浮かれる歳じゃないしな…。
「どうせオレは,人間の中には入れない…」
そう…ずっと分かっていた…そんなこと…。
でも…オレは生きる…人間として…。
きっと,これから先もずっと……。
でも…
「…オレの存在理由って…何なんだろうな…」
ふと,そう思う。
そんなこと,考えたことも無かった…。
オレの…存在理由…?
…なんだろう…オレの…存在理由は…。
そう考えていたとき…
「蔵馬〜!」
「遊びに来たぜ!」
「……」
「…幽助,桑原君,飛影…」
この3人がオレの家の前にいた。
オレは窓から乗り出し,話し掛ける。
「どうして…」
「よっ! 蔵馬」
「パーティーやろーぜ! いいだろ蔵馬!」
「ちょ,ちょっと……」
「いいだろ! 蔵馬〜!」
「だ,だから…」
何度言ったら分かるだろう…?
ここでは≪秀一≫だと…。
「蔵馬〜!」
たまらずオレは玄関へと走り出す。
母さんや秀一だっているんだ。
聞かれるとやっかいだ…。
≪がちゃっ≫
オレが玄関のドアと開けたとき,外には雪が…。
「すっげぇなぁ…蔵馬が引っ込んだとたんこうなったんだぜ!」
「ホワイトクリスマスだ!」
「……五月蝿い奴等だ。たかが雪で…」
「…綺麗ですね…」
何度も見てきた…雪なんて…。
でも…見る相手によってこうも違うものなのか…。
今は雪が素直に綺麗に見える。
このまま,ずっと見ていてもいい…そう思っていると
「へーくしゅい!」
大きなくしゃみが…。
みんな少しキョトンとしてから
「お前な…」
「……いちいち五月蝿い奴だ本当に…貴様は…」
「くすっ…」
それぞれ意見する。
…おかしい人たちだ…。
…一緒にいるだけで楽しい…そんな仲間…めったにいなかった。
妖狐時代ではあまり考えられないことだ。
オレがこんなにも人間となじめるなんて…。
「蔵馬ぁ! さっさと家入ろうぜ! 寒くってよぉ…」
「へっくしっ!」
「ツバ飛ばすなよ!」
「風邪引かないようにね。ほら,中へ…。前もって言ってくれればよかったのに…」
オレは玄関の扉を開けながら言う。
そして,幽助達を先に家の中に入れる。
オレが最後に入り,ドアを閉めたとき,幽助がこう言った。
「バーカ。クリスマスを仲間と過ごさないで誰と過ごすんだよ!」
「え……?」
「そうだぜ…へっくしょーい!」
「……………」
そ…っか…。
みんな,そんなふうに想ってくれてたんだ…。
きっと生きとし生ける者は誰かを支え,また誰かを支えている…。
オレは,幽助や桑原君や飛影…たくさんの人に支えられて生きている…。
そしてオレも,きっと誰かを支えている…。
それがオレの存在理由,いや,生きる者全ての存在理由なんだ…。
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