第八部 死闘!

 

(現実世界)

あ―――――――――――――――――!!!!!

静:ねー…これって
螢:ちょ、ちょっと…
雪:え?ひょっとして…
ジ:どどどどうすればいいんですか?!
ぼ:そんなことあたしが知りたいよ〜〜!

 

 

(コンピュータに墓標のグラフィックが写りキャラクター名が表示されている)

 

 

 

 

(ゲーム世界)
(訓練場から猛スピードで迷宮へ向かう幽助一行)

蔵:みんな急いでください!
桑:マジで?やっぱり?行っちまったのかアイツ!
幽:おい蔵馬ァ!嘘じゃねーだろうな!
蔵:冗談でもこんな嘘はつきません!訓練場で確認したとおりです!
幽:マジで死んだのかよぉ!

桑:蔵馬!おめーが話したさっきのこと本当だとすると…
蔵:ええ、早く飛影の死体を見つけださないと――飛影の死体がモンスターに食われます!
幽:チックショーあんにゃろ よっけいな手間かけさせやがってぇ!
コ:お、おい蔵馬、ホントにワシらだけで来てよかったのか?
蔵:五人以下のパーティ出なければ死体を回収する事ができないんです!
  素早く行動するには最小限のパーティの方が都合がいい!
  それに陣たちには酒場に残ってもらっていないと――
桑:いないと?
蔵:オレたちが死体になった時に回収してくれる人がいなくなりますから。

幽:どういうことだ?

 

 

(桑原先に迷宮の階段を下りる)
(幽助、蔵馬、コエンマ迷宮への階段を下りながら)

蔵:遺体を回収しに行ったは良いが、救出に向かったパーティまでが死体になってしまう事はよくあることなんですよ。
幽:ミイラ取りがミイラになっちまうってか?そりゃこええ。
蔵:幽助、顔はそういってませんよ。

幽:(ニヤ)
  ところでよ、飛影の死体なんてどうやって見つけるんだ?
蔵:そこらじゅうを探し回ってみるしか方法はありませんね。それからコエンマ、逃げないでくださいね。
コ:バカにするな。

 

 

(幽助、蔵馬、コエンマ、迷宮へと降り立ち桑原と合流)

幽:おーっしまずはどこから…

蔵:!?
桑:お、おい、誰かいるぞ!
幽:敵か?!

(パーティ1が最初に戦闘した扉前で誰かが手招きをしている)

幽:バーサン!
蔵:とにかく行って見ましょう。

(一行扉前に走っていく)

 

幻:さっさときな!グズグズすんじゃない!
幽:(猛ダッシュで走ってきて)何やってんだよバーサン!

コ:い、いった―― い ―― なにが (息切れで死にそうです)
幻:さっさとこっちに来な! コレで全員かい?
幽:ああ
幻:そうか、よし。 キャンプ!

(叫び終わった途端パーティ達を包むように半透明の膜ができる)

幻:これでよし。
幽一体何やってんだよバーサン。
蔵:師範、どうしてここへ?

 

幻:ワケは話すがまずコイツを見てみな。

(頭と胸から血を流している死体を見せる)

幽:飛影!おい!起きやがれ!
桑:んな簡単にくたばるやつだったかおい!
蔵:気づいてたんですか。
幻:調べものしに訓練場のリスト覗いたら、一人で出かけてるんでね。見に行ったらもうこうなってた。
  ま、奴さんのこった。やるだろうとは思ってたけどね。

幽:おいババア!なんでさっさと飛影の死体連れて帰らなかったんだ!
幻:帰らなかったんじゃない、帰れなかったんだ。
桑:帰れねえ?
蔵:……!
幻:気づいたかい、原因はアレさ。

 

 

(ふと突然、パーティの近くで何かが動いている)

蔵:なるほど、敵に囲まれてたんですか。
幻:ミイラ取りがミイラになっちまったらしゃれにならないだろ?

コ:な、なんじゃ?!まるっきり人間の形をしているが…
蔵:ブッシュワッカー、ここら辺でてくる敵の中では一番強いモンスターですよ。
幻:初級パーティキラーとも言うな。一人で戦ったんじゃまず勝ち目はない。
  パーティの最大人数(6人)で行ったって全滅させられる事もある。
コ:なんじゃと?!
蔵:おそらく飛影もこれにやられたんでしょうね。

幽:おいコイツラ、さっきから近くをぐるぐる回っているだけでちっとも襲ってこねえぞ?
蔵:“キャンプ”の状態だからですよ。ほら、パーティの周りに薄い半透明な膜があるでしょう。
幻:キャンプ状態の時は敵は手を出せない。もちろんこちらからも手を出す事はできんがな。
蔵:キャンプを解けばこちらも行動はできますけどね。
  でも今は余りにも危険すぎる。さてどうしますかね。

 

 

 

(現実世界)

ぼ:ふー、なんとか幽助たちが飛影の所までたどり着けたみたいだね。
雪:でもおかしくないですか?さっきからずっと動かないみたいですけど
螢:なんやってんのよ幽助!早く動きなさいこの流血バカ!
静:ほらバカ、さっさと飛影君の死体連れて帰んな!

(そとからだと幽助たちがモンスターに囲まれているのが解らない)

 

 

(ゲーム世界)

幽:……?
  なんだかどっかから非常に腹の立つことを言われたよーなきがすっぞ。
桑:オレは何故か寒気がする…
蔵:じゃ段取りはいいですか、できる限り出口に近い所で固まって敵が油断したスキにキャンプを解きますから、
  あとは飛影を連れて猛スピードで出口に向かうこと。
コ:おお!
幽:なんか無駄に力はいってねーかコエンマ。

幻:いいか、タイミングが命だからな。逃げ遅れるないように気をつけな。

(出口近くの隅のほうで敵の様子を伺い待機するパーティ)

蔵:(よし、今なら行ける)
桑:(遅れんなよコエンマ。)
コ:(もちろんじゃ。)
幽:(いらねー心配だと思うぞ桑原。)
幻:(キャンプを解くぞ―――)
   (3、2、1――)
   キャンプ解除!

 

 

ダッ!

 

っりゃーーーーー!!!

 

 

(一斉に 敵 へと向かう幽助と桑原)

幻:やれやれ。
蔵:予想はしてたんですけどね。コエンマ、死ぬ覚悟でいてくださいよ。
コ:縁起でもないこと言うな〜…(やっぱりか〜!)

蔵:コエンマ、できれば――いや
  確実に幽助たちの攻撃が敵に届く前に呪文唱え終えてくれ。
コ:無茶だーーーー!!!(必死でタイピング)
蔵:オレたちが生きるか死ぬかはコエンマのタイピングにかかってるんだ。
コ:たのむから冗談だといってくれ…

蔵:KATINO!
コ:は、速いぞ!(タイピング終了)
  ? 呪文が発動せん…
幻:…やったね。(猛ダッシュで敵へと向かう)
コ:な、なんなんだ?
蔵:ミススペル。
コ:なんでーーーーーーーー!?

 

※ミススペル…呪文をタイプミスする事。つづりを間違えると呪文が発動せず何も起こらない。

 

 

 

(戦闘前線で、敵の一体が蔵馬の呪文でひざを突き眠りに落ちる)

幽:おーし呪文が効いたみたいだぜ!
桑:っしゃ!一気に片付けっぞーー!
幻:注意しな、今までの敵とは勝手が違うよ。
幽:言われなくても分かってるぜ!前のヤツラよりもゾクゾクきやがるからな!
幻:(やれやれ、この後に及んで楽しんどる。) 敵は二人か、眠ったのは一人だけだ。気を引き締めていきな。
桑:わーってらぁ気ィなんざぬけっかよ!

(前衛全員が眠っていないブッシュワッカーに一斉に飛び掛る)

幽助が拳で殴りかかる。
敵の腹に当たる前にガードされ完全に防がれる。
桑原が敵に突きかかる。
が敵は桑原の攻撃を剣で受け流す。
幽助はブッシュワッカーの頭上めがけ思い切り振りかぶる。
隙ができた腹のほうめがけ、ブッシュワッカーが蹴りを食らわす。

 

 

ドシャァァァァァアアア!!

 

幽:(グ…動きも格段に違う、オマケにけっこう重いぞこの一撃!)
桑:浦飯ィィィ!
幻:なれない剣を無理やり使おうなんて考えるな。
幽:あんなのに拳でダメージ与えらねーぞ!
  おいババア!その武器よこせ。そっちの方が殴るだけで扱いやすそうだ。オレの剣やっからよ。
幻:なんだい、自分じゃ扱えないから人の武器を欲しがるのかい?
  まるでガキだね。いや、もともとガキだったっけな。
幽:見た目モロガキなやつに言われたくねえ!
幻:ほう、自分の武器もロクに扱えないわがままなガキンチョが随分とデカイ口叩くじゃないか。
  まぁもともとお前にゃその武器は扱う事なんざ死んでも無理だろうな。
幽:(ブチッ)
  そこまで言うんなら使いこなしてやろうじゃねーーかぁ!!
  見てやがれこのクソガキーーー!!!

 

 

 

シャッ!

ブッシュワッカーが幽助めがけ突っ込む。
向けられた剣先を自らの剣を使い左に受け流す。
攻撃がそれ、隙ができた敵の右脇めがけ攻撃を仕掛ける。
それを見越していたかのように敵は盾で防ごうとする。
だが幽助もそれを察し、素早く剣を左手に持ち替えていた。
右手でフェイントをかけ、敵の注意を右脇に集中させておき、姿勢を低くして留守になっている敵の足に切りつける。

ギェェェェ!

 

予想だにしない攻撃に悲鳴をあげよろめく敵。
体制を崩した敵に桑原が頭上まで振り上げた剣を一気に振り下ろす。

 

 

ザシュ!

攻撃があたる直前、敵は状態をずらし致命傷を避けようとする。
急所は避けた。だが右肩が裂け、既に右腕は使い物にならない状態になっている。

 

ゴシャ!

突如、敵の頭めがけ、※メイスがふってきた。
鈍い音とともに、ブッシュワッカーの頭蓋骨は割れる。

 

しばらく痙攣を起こし小刻みに震えるブッシュワッカー、やがて痙攣もおさまり二度と動かなくなった。

 

※メイス…僧侶の使用できる清められた武器。
      僧侶は『いかなる場合においても血を見るようなことがあってはならない』(内容はあくまで要約です)
      という規則のため、刃の付いた武器を使ってはならない。
      そのため、棒の先に木片(もしくは鉄片)を取り付けたこのような武器のみを使用する事ができた。

      *注(メイスつかったって普通に血ィ見るじゃん という突っ込みは当方では感知いたしません)

 

 

 

桑:ッしゃ!
幽:一匹片付いたぁ!
幻:お前にしちゃまあ考えてやったほうじゃないか。
幽:もっと腹立たしくねーようにいえねーのかよ。
幻:ボヤボヤするな、まだそっちに食い残しがある。

幽:寝てるぜコイツ、こんなの心配することねーよ。
桑:眠ってる敵を倒すのはなんか気ィ引けんな。
幻:甘いこと言うんじゃないよ。そんなこといってるとこっちが殺られるからな。

 

 

(前衛三人眠っている敵を取り囲む)

幽:せーので行くぞ。
  せーのっ

ガバッ!

(突然敵が起きる)
敵の寝起きに切りかかる前衛。

 

 

シャ!
ガキッ!
ボコ!

かすった程度の傷を負わせただけで致命傷にはならない。

 

桑:おいおい起きちまったぞ!
幽:眠ってるやつ集団リンチするような姑息なマネしなくてすんでよかったじゃねーか。
桑:まーな。
幻:お前達遊ぶなよ。さっさと片をつけるぞ。

 

(一斉に敵に向かう三人)
幻海がメイスを大降りに一直線に振り下ろす。
敵は大振りな攻撃を状態をそらして避けカウンターを食らわせる体制に入る。
後ろから幽助が敵の踵を斬りつける。

ドサッ!

倒れる敵。
即座に桑原が突き掛かる。
間一髪、敵が桑原の攻撃をかわし間合いを取る。

 

蔵:(どうにか足を止める事ができた……よし!) コエンマ、いくつ呪文を覚えている?
コ:今のところ三つだ。
蔵:この呪文使えないか?(ボソボソ)
コ:………?その呪文でいいのか?
蔵:お願いします。

 

 

桑:チィ!避けられたぁ!
幻:だが足は止めたからな。動きは鈍くなってる。
幽:おーっし片付けっか!

(再び敵に向かう三人)

桑原が突き掛かる。敵は盾で受け止める。
即座に次の攻撃を繰り出す桑原。再び盾で受ける敵。
気をとられたスキに幽助が敵に突進する。
敵が体をひねり前進し攻撃をかわす。

突然避けたため衝突しそうになる幽助と桑原。

幽:だ〜〜〜〜〜〜っとぉぉぉ!!
桑:あぶねーぞおい!!!

前進し攻撃をかわした敵に幻海がメイスを振り上げる。

 

ドスッ!

 

 

敵が隙のできた腹に剣を突き刺した。

幽:バーサン!
桑:おい大丈夫か!?
幻:…防…御せずに殴りかかったのがまずかったな。…あ…と残りHP…1ってトコだ。
幽:死体一個増やす所だったな。
桑:にしてもさっきのヤツより速ぇぞコイツ。
幽:オレもそんな気がするぜ。
幻:よし…もう一回行くよ。
桑:大丈夫かよバーサン。
幻:死んだら持ち帰って線香あげとけ。
幽:死んだら迷宮ないに放置だクソババア。

 

 

(三度敵に向かって走る三人)

囮にわざと大降りに剣を振り回す桑原。
敵が避けた所を幽助、幻海が飛び掛る。

 

ヒョォォォオオ!

ブッシュワッカーが剣を大きく振り回し二人をなぎ払おうとする。

 

幽:うぉ!(シャ!)
幻:(ドン!ドシャァァァァァ!)
桑:おぉぉい!?

幻:…大丈夫だ、今…の…はガードした。

 

大降りに剣を振り隙ができた敵のわき腹めがけ攻撃をかわした幽助が剣を振る。

シャッ!

桑:やったか?
幽:ダメだ…浅い!

ブッシュワッカーが大きく剣を振り上げる。

 

ガァァァァァァァアアアアア!

迷宮内に悲鳴がこだまする。
人の形をしたものが炎に包まれ床を転げまわっている。

 

 

悲鳴を上げたのはブッシュワッカーだった。
焦げついた臭いがあたり充満しやがて動かなくなった。

後ろを振り返るとコエンマがブッシュワッカーのいた位置に向かって手の平をかざした構えのままたっていた。

 

 

幽:……こ、コエンマ!?
コ:ハッハッハ、どうだ、カッコイイだろう〜?
桑:お、おい、今の呪文か?
コ:ハリト(HALITO)、小さいが炎を呼び出すことのできる呪文だ。
幽:おーいなんだよ、そんな呪文が使えんなら先に使えよ〜。
幻:その呪文…当たりハズレが激しいんだよ。最低ダメージから致命傷までダメージがランダムだからね。
  良くこの状況で使う気になったな。

コ:こんな状況でなければ使う意味がないだろ?
蔵:たまにはギャンブルみたいな事があってもいいじゃないですか。勝って当たり前な戦闘なんてつまらないでしょう?
桑:へへへへへ言えてらぁな。
幽:蔵馬ー、オメーも話せるヤツだな〜。

 

蔵:それじゃ、帰りましょう。

全員:お――――――ッし!