第二十一部 〜 鑑定は計画的に 〜

 

 

 

(寺院前の表通りにて)

 

 

蔵:お疲れさまでした師範。

幻:手間取らせて悪いね

蔵:お礼言われる程でもありませんよ。

 

鈴:時に幻海、552÷8 はいくつだ?

幻:69。アルツハイマーのテストのつもりかい。

鈴:いや、脳障害とか残っていたら大変だと思って

 

幻:はぁ、お前に心配されちゃあたしもおしまいだね。ところで頭が異様にベトついている上に妙に獣臭いんだが―

鈴:気のせいだうん何も妖しくなんかないぞ。断じて。絶対。

幻:ほう――で、蔵馬なんかあったのかい?

鈴:(端から俺は信用してないのかこの)

 

蔵:特にこれといってありませんでしたよ、ね?

鈴:あ、ああもちろん……………

  フ…幽助、陣、スマン、俺にはゲーム終了まで、これに延々耐えるのは無理だ。

 

幻:一人でブツブツとどうした、妖怪も呆けるのか。まぁお前は元々天然のオオボケだがな。

鈴:いやなに…時に幻海師範、少々お話があるのですが

幻:なんだい急に改まって気色悪いね

蔵:(ああ もったいない)

 

 

 

(今までの経緯を説明中)

 

鈴:――というわけなんだ。スマン、この通りだ。

幻:潔いね、関心だよ。覚悟は出来てるかい?

 

鈴:うむ、腹は決めた。もう焼くなり煮るなり好きに…

  いやいや お子様がそんなトゲ付鉄球振り回しちゃ危ないでしょ!!

  今の俺はちょっと丈夫な一般人程度だぞ

  いやまて!落ち着け!話せばわか――

 

 

 

 

 

こちらは現実世界の人々

 

 

 

 

ピコ

                   ピコ

hit  2hit うぉぉぉらああああ  3hit

 

どごーん4hit ずがーん5hit 6hithithit

 

hit 10hit 11hit 12hit 13hit 14hit

 15hit MAXhit!! MAXhit!! MAXhit!! MAXhit!!

 

ウワァ ウワァ ウワァ ウワァ…   K.O.

 

 

 

 

ジ:あ〜〜もう!また負けちゃったぁ!!

ぼ:こ〜らっ!なにやってんのよあんたは!

 

ジ:はっ!、だ、だって懐かしいソフト見つけたんですもん!

ぼ:この一大事にゲームなんかやってるんじゃないよ!

ジ:だ、だって〜無事に中ボスから生還できたみたいですし、ずっと画面見ているの暇だし…

ぼ:アンタって人は〜

 

螢:まぁまぁ どうせなら皆でやれるトランプかなんかやりません?

ジ:あ!いいですねぇ!

ぼ:ちょいと〜

静:いいじゃない、これからしばらくはそれ程危ないところ行かないんでしょ

ぼ:う〜ん、ま、いいっか

 

雪:あら?

螢:どうしたの?雪菜ちゃん

雪:今、どこかで悲鳴と鈍器で殴られたような鈍い音がしたよう気が…

ジ:私のやってるゲームの効果音じゃないんですか

雪:いえ…パソコンの方からした様な気がするのですが

静:中で乱闘でもやってんじゃないのかい?

 

 

 

 

(こちらはゲーム内酒場にて待機中の人々)

 

 

桑:レイズ 50Gold

駒:うーん 今回はドロップ

陣:いまのレイズは挑発とみて・・・チェック!

凍:挑発と見てチェックか。

 

幽:肝っ玉ちっせー

陣:降りたオメに言われたくねー!

 

凍:ショー・ダウン

陣:6のスリーカード

桑:Jのスリーカード

陣:だぁ〜っくそぉ〜

 

桑:フ…私に勝とうなんざ10年早いんですよ

幽:そのキザっぽいポーズと癪に障る喋り方やめろ

 

凍:幽助、強引に性格が変わった所為だ、そっとしておいてやれ

飛:性格かわろうと、言ってることは大差ないな、ツブレ顔

桑:誰に向かって口を聞いてるんです?私の戦闘能力は53万、しかもまだ後3回変身できるんですよ?

幽:オメー変身できたのか

 

コ:コラコラ違う原作を引っ張り出すんじゃないの

飛:フンバカバカしい。

幽:おーい 飛影、オメーはゲームにはいらねえの?

飛:つきあってられん。

 

 

 

 

酎:かー 人間並しか飲めねぇなんて欲求不満もいいところだぜ畜生

コ:ウイスキー10本空けて何を言うオヌシは

死:酎さん、たしなみ程度ならば結構ですけど、お体に触りますよ

 

酎:帰ってからおめえうっせえぞ!善人ぶった芝居なんざおめえ一番嫌いだろ!

  オラ飲め!化けの皮はがしたるぁ!

死:な、何を!わ、わたしは飲めませ…グガッ!

駒:おーい一応人並みの抵抗力しかないんだから、その飲み方だと酎はともかく死々若は急性アルコール中毒で死んじゃうよ

 

コ:おい酎、演技ではないから見逃してやってやれ。

酎:ヒック、ゴチャゴチャうるせーなアンタも飲めや

コ:最近胃腸に来るようになってな…勘弁してくれ

駒:中間管理職って大変なんだね

コ:最高責任者だ 阿呆

 

 

 

 

カラン

 

 

蔵:相変わらず賑やかですね

幽:よーう蔵馬!待ってたぜ

陣:蘇生は無事すんだだか?

 

幻:大変だったようだねバカ弟子共、鈴木から事情は聞いたよ

幽:ゲ、あんにゃろう喋りやがったか!

陣:(ボソ)誰かがプレッシャーでもかけたんでねぇか

 

蔵:いえ、今回俺は黙っていてあげようと、ただ笑って見てただけなんですけど

陣:き、聞こえただか…(おもいっきり圧力かかってんべ。なんか鈴木責める気になれね)

幽:(確かに影で延々おどされるよか鉄拳制裁のほうがましだよな)

 

幻:お前たちにもちょっとした罰ゲーム考えてやったんだがな。ロングソード一気飲みとかね

幽:できるか 死ぬわ!!

 

幻:冗談だ。今回は鈴木に免じてお前ら二人のことはお咎めなしだ

  あたしの不注意もあったことだからな。

 

幽:へへへ流石ばーさん 寛大な処置どーもありがとうございます

陣:カミングアウトしてくれた鈴木に感謝だな〜 ところで鈴木は?

蔵:鈴木なら今寺院に保管されてますよ

陣:へ〜…   へ!?

 

幽:鈴木…お前の尊い犠牲は忘れねえぜ

鈴:ふぉいまへええい! 臨場感のあふ冗らんはよへ!(ボコボコです)

 

 

陣:誰?!

飛:ほぅ、久しぶりに拝む面だな。化粧落としてきたのか?

鈴:俺は常に素顔だ!

 

 

幽:誰だよオメー

駒:闇の妖術使い佐藤だっけ?

コ:凄い超人種伊藤じゃなかったか

酎:三丁目の山田さんだろ

凍:鈴木を苛めるのはもうやめてやれお前達

鈴:恩人に対してお前らの扱いはなんなんだ!

幽:ワリワリ、感謝してるぜこれでも

  にしても満身創痍じゃねーか、まさに奇跡の生還だな。

 

死:鈴木さんどうしたんですか、そんなボロ雑巾のようになって…

鈴:なんでそんな美しくない形容のしかたしかできんのだ!それでも善人か! 

コ:悪人だった頃に比べれば5層コートで包んだくらい優しい言葉だと思うぞ

 

飛:フンよかったなデコボコ面、貴様にもお仲間が出来て

桑:くくくくく… 初めてですよ。私をここまでコケにしてくれたおバカさんは。

コ:そのネタはもうやめんかい

 

 

蔵:どうでしょう師範、この二人の性格変化

幻:うむ、殴りたい。

蔵:率直なご意見ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

(鈴木の治療を終えテーブルに集合)

 

 

蔵:――で、これからどうするか一応みんなの意見を聞きたい

幽:このままでよくね?

凍:だがゲーム出てもこのままということは――

 

蔵:まずないでしょう。この体自体あくまでゲーム内のみで使われる

  実態の無い入れ物みたいなものですからね。

  ゲームを出れば全部元通りになるはずですよ。

鈴:これはこれで面白いのでもうこのままでも良かろうかと思うがな。

 

死:一体みなさん、なんのお話をされているのですか?

桑:つまらない事をグダグダ話していないで、さっさと狩りに行きませんか?

 

コ:おぬしら当事者だろうが。大人しく聞かんかい。

蔵:今の彼らに言っても仕方がありませんよ。

凍:性格を戻した方が懸命だと思うぞ。

  このままじゃ何時暴走して勝手な行動をするかわかったものではないからな。

陣:んだ。二人とも性格変わってからなんか怖いべ。

 

酎:全くだぜ、コイツが善人になっちまってから酒飲む時ですらイチイチうるせーのなんの

駒:これを期に禁酒したら?

酎:オレ様に死ねってのかよ!

飛:確かにな。失敗面の馬鹿が輪をかけてパワーアップしたのははた迷惑この上ない。

  まだ一段階大人しい馬鹿のほうが我慢しやすい。


蔵:決まりですね。

幻:やれやれ。

 

 

 

蔵:とりあえず次の目的地は友好的なモンスターが出現して

  尚且つある程度経験地も稼げる安全な場所ですね。

コ:そんな都合のいい場所あるのか?

幻:ああ あるな一箇所だけ。

蔵:このゲームをプレイ経験者の殆んどが行く場所ですよ。

駒:それどんなお人好しモンスター?

 

蔵:マーフィーズゴースト

 

 

 

(地下一階の地図を広げてとある箇所を指差す)

 

 

幽:え?地下一階なのかよそいつの出る場所

陣:弱すぎねぇ?

蔵:このモンスター本来は最下層部にしか出現しないモンスターなんだ

陣:じゃ めっちゃ強いべか!

 

幻:食らうダメージは2で固定ダメージだよ

陣:なんだ 弱えぇべ

 

幻:弱いといってもレベル1の冒険者じゃまず全滅させられる位の強さではあるがな。

蔵:このモンスターは特定のオブジェクトを調べると何度でも戦える仕組みになっているんです。

  これをを利用して特殊ツールを使用した有名な裏技(みたいなもの)もあるんですけどね

幻:別に特別なもん使わなくたって爪楊枝でキーボード固定すりゃ

  プレイヤーが寝ているうちにレベルアップするからね。

 

 

駒:そのモンスターの存在意義ってなんなの

蔵:このゲームの原作者の大学時代の悪友がモデルらしいですね。

駒:うわぁぁ・・・可哀相・・・

幽:ゲームの原作者陰湿だな

 

コ:お前も気をつけたほうがいいぞ。知らないうちゲームのモンスターなんかにされて

  毎日地球上のどこかで大量虐殺されるかもしれんからな。

幽:オメーの方が危ねえんじゃねえの?部下が自分で作ったゲームとかで

  悪役にされて踏んだり蹴ったりされてるかも知れねえじゃん

コ:ゲームですめばまだいい。空想で殺されても屁とも思わん。

幽:オメえも強くなったな、親父に(お尻)百叩きされてたガキとは思えねえー

コ:誰かさんのお陰でな。

 

 

 

酎:でもよ、それならそうとなんで今まで行かなかったんだその場所に

幻:画面越しにプレイするだけなら寝ているうちにレベル上がるが

  実写で戦ったら面倒臭いことこの上ない

蔵:途中で飽きそうだし、ストレス溜まりますよ

駒:聞くだけでダルそ

 

幻:だが友好的である確率もそれなりに高いので今回のように性格変えたい時とかに使えるぞ

凍:しかし、そういう事だとその部屋にいけるパーティは1つだけではないのか?

駒:そうか、変えなきゃいけない性格が真逆だからパーティ2つ作って行かなきゃ行けないんだ

幻:もう1つのパーティは大量に敵に遭遇するフロアで戦闘して

  強引にフレンドリーモンスターに出くわすよう仕向けるしかないね

鈴:それでは早急に向かおうか

 

 

蔵:あ、鈴木は留守番してて下さい

鈴:な・・・

蔵:指輪鑑定二回ともミスしたので今迷宮潜ったら5歩歩いただけで死にますね。

  城の中じゃどうやらカウントされないらしいけど。

コ:なんじゃオヌシ、懲りずにまた指輪の鑑定したのか

鈴:ふ…知的好奇心がこんなところで災いするとは

幽:かっこつけて言える台詞か

 

飛:正真正銘のアホだな

鈴:だっ…だまらんか!

 

 

蔵:とにかく、鈴木は解呪費用の50万ゴールド貯まるまで留守番です。

幽:ゲ そんなに金かかるのかよ

駒:いっその事 鈴木置いてっちゃったら?もうずっと

鈴:まてぇい!

 

 

 

 

 

 

(こちらは現実世界の人々)

 

 

 

静:はい あがり

雪:静流さんお強いですね

螢:こっちの手札全部みえてるんじゃないですか

静:こんなの場数積めば誰でもできるもんよ

 

 

ぼ:ほらほらちゃんと画面見てるのかい

ジ:見てますよもう!うぅぅ…私も、そっち行きたい…

 

ぼ:勝負で負けたんだからとやかく言わないんだよ

雪:すみませんねジョルジュさん

螢:一周したら交代しますから

 

 

 

ジ:うぅ… 次こそ絶対勝ってやるぅ!!